エレファントカシマシ @ Zepp Tokyo

エレファントカシマシ @ Zepp Tokyo
エレファントカシマシ @ Zepp Tokyo
エレファントカシマシ @ Zepp Tokyo
8年ぶりに還ってきた4月11日の日本武道館でのライブは本当に凄まじいものだった。とにかく「今が最高である」ということをメンバーはもちろん、あの会場にいた1万人の観客がそれを強く確信できたライブだったから。その武道館ライブの余韻も覚めやらぬ中、4月29日に発売された最新アルバム『昇れる太陽』はオリコン・ウィークリー・チャートで初登場3位を記録。今の宮本だから歌える素直な想いが込められた名曲の数々を収録した最高傑作アルバムを携えて5月14日・新潟LOTSよりツアー『エレファントカシマシ コンサートツアー 2009“昇れる太陽”』がスタートした。

本日はZepp Tokyo2Days公演の初日。キーボードに蔦谷好位置、ギターにヒラマミキオの2人をサポートに迎えたお馴染みの6人編成でのライブ。開演直前は武道館での厳かな雰囲気とはまた違って、ステージとの距離が近く、オーディエンスの密集具合もあってライブハウスならではのアットホームな雰囲気が漂っている。みんなエレカシを心から迎え入れようという温かいムードに包まれていた。これからツアーは6月3日の大阪公演まで続くので、詳しいセットリストを書くことはできないのだけど、1曲目から宮本の歌声は絶好調だ。最新アルバムからの楽曲とファースト・アルバムからの楽曲を織り交ぜながら、一つ一つの言葉に情念を込めて丁寧に歌い上げていく宮本の姿がそこにあった。姿勢としては今も昔も変わらないのだけど、でも明らかに今のエレカシでしか表現し得ない歌を歌っている。

「エピックソニーの契約が切れた時があって。27歳くらいの時にクビになって。その後、下北沢で30人とか40人とか熱心に応援してくれる人たちの前で一生懸命に歌った大事な歌です。つまらない日々もあるけど、素敵な明日、最高の日々がやってくるぜという歌です」と言って始まった“悲しみの果て”。今の宮本が歌うから《悲しみの果ては/素晴らしい日々を/送っていこうぜ》という言葉に強い魂が宿り説得力が増大する。「いつもテーマは同じなんだけど…」と宮本自身も言っていたけど、憂鬱な事も、悲しい事も、いらつく事も、何があっても前に進まなければならない、生きていかなければならない、その先に何があるか分からなくても――そういう一貫したテーマをずっと歌い続けながらも、やはり今だからこそ伝えられる言葉もあるのだ。

「20代の頃は桜っていうと背を向けて生きてきたけど、今は桜でも何でもドーンとこい!って感じですよ。花が咲いて、枯れて、でもまた春になると咲いて。そういうサイクルが俺達の人生の上り下りのエブリデイ! また咲かそうぜっていう歌ですよ!」と言って始まった“桜の花、舞い上がる道を”はまさに、今のエレカシだからこそ歌える楽曲なのだ。武道館ではストリングスをバックに雄大に奏でられたが、今回のツアーではよりソリッドなバンド・サウンドと何より「歌」を最大限に引き出すためのアレンジだったのか、蔦谷のキーボードはほぼピアノ音でシンセサウンドが使用されていなかった。だから、そこにあったのは生々しい歌声と肉感的なバンド・サウンドのみ。それこそが、6人で奏でる今のエレカシの本質と言えるだろう。

「明日も明後日もドーンと行くために、熱く、不器用に、回り道してでも真っ直ぐ生きていこう」。宮本は最後にそんな言葉をかけてくれた。バイタリティに溢れている今のエレカシは無敵だ。「今が最高」という状態をどんどん更新中なのだ。次のエレカシは私達にどんな「明日」を見せてくれるだろう。本当に楽しみだ。(阿部英理子)
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