チャットモンチー @ ZEPP TOKYO

チャットモンチー @ ZEPP TOKYO
チャットモンチー @ ZEPP TOKYO
チャットモンチー @ ZEPP TOKYO - pic by kazumichi kokeipic by kazumichi kokei
アルバム『告白』のリリース・ツアーは、4月5日〜5月19日が全12本のホール・ツアー『チャットモンチー Hall In Love Tour 2009』、続いて5月26日から全15本のライブハウス・ツアー『いま一度ライブハウスを洗濯し申す! ツアー』、の2部構成。で、今日はその2部のファイナル、ZEPP TOKYO 2デイズの2日目。
ステージの両脇には、ツアー名とバンド名を染め抜いた、でかいノボリが2本。客電つきっぱなしの中、BGMの音量が上がり、ドラムの久美子がふらっとステージに出てきて、大歓声の中どったんどったん叩き始めると、照明が消え、両サイドのノボリが下げられ、絵莉子&晃子が出てきて定位置につき、“風吹けば恋”でスタート――という、「さあいよいよです!」みたいな大げささのない始まり方だったのに、その瞬間からもうフロアがえらいことになる。大沸騰。別にモッシュしたりとんだりするわけじゃないが、とにかく熱い。バンドの淡々とした平熱っぷり(晃子は時折アグレッシブなアクションを見せるけど、絵莉子&久美子はわりと黙々とプレイする方)と好対照。

中盤、“ハイビスカスは冬に咲く”“ツマサキ”の2曲は、アコースティック・セットで披露。そういえば“ハイビスカス〜”、ホール・ツアー編ではアンコールで、お客さんを10人くらいステージに上げて、パーカッションとか持たせて一緒にプレイしていた。どうやら「普通にはやらない曲」という位置づけのようです。そのあと、「ここから『告白』ゾーンです」というようなMCを前置きに、“8cmのピンヒール”から後半戦へ突入。“Last Love Letter”“恋愛スピリッツ”の必殺の2曲で本編をしめくくり、“恋の煙”“ハナノユメ”の2曲をアンコールでプレイし、いつものようにお客さんをバックに記念撮影し、ステージは終わった。
全19曲、1時間50分弱。いつものように、MCで結構ダラダラしゃべっていたのに、ほんとにあっという間だった。体感時間、1時間もなかったです。

で。ブログにもチラッと書いたが、ほんとにいいバンドで、ほんとにまっとうなバンドで、そしてほんとに不思議なバンドだなあ、という3つの考えが、観ている間、頭の中をぐるぐる巡りっぱなしだった。
ひとつ目と2つ目、「ほんとにいいバンド」「ほんとにまっとうなバンド」というのは、わりと理由を書きやすい。この3人じゃなきゃいけない存在感がある。でも3人とも好き勝手に音を出している。だから音がいきいきしている。楽曲が、ほとんど歌謡曲レベルまで超ポップなのに、ちゃんと「ギターとベースとドラムと共に奏でられるのが最もふさわしい鳴り方」をしている。つまり、ロックである。などなどがその理由なのだが、問題は3つ目だ。
チャットモンチーってそもそも不思議なところがいっぱいあるバンドで、そのうちのひとつをホールツアー編のNHKホールの時このページに書いたのだが(4月16日です)、今日最も強く思ったのはまた別で、いわば「ハコのサイズに合うバンド」という不思議さ。どういうことかというと、ホールで観ればホールのバンドだし、ライブハウスで観ればライブハウスのバンドなのだ。

例えばですね。先週、JAPAN CIRCUITで、SHIBUYA-AXのステージで、Dragon Ashを観たんだけど、バンドの放つエネルギーが明らかにAXのキャパでは収まりきらなくて、熱量オーバーでえらいことになっていた。最高だったけど。逆に、急激に売れちゃったバンドとかで、でっかいホールでライブが決まって、観ると「うわ、まだ無理だあ、状況に身体がついていってないわ」って思ったこと、過去によくある。普通、そのどっちかだが、チャットモンチーはどっちでもないのだ。
このバンドが最も最初にでかいステージに立ったのは、NANO MUGEN FES.の横浜アリーナだと思うが、ライブを観て「なんでデビューしたばっかりなのにこんなに堂々としてんだ!?」と、びっくりした覚えがある。初めてROCK IN JAPAN FES.のGRASS STAGEに立った時もそうだった。何の危うさもなかった。実にしっかりとしていた。
ただし、じゃあ逆に、下北とか渋谷のライブハウスだと、場に釣り合わないことになるのかというと、そうでもない。ちゃんと……「ちゃんと」っていうのもヘンだが、女の子3人のガレージ・バンドみたいに、黒い壁と汗とタバコの煙にまみれた、ライブハウスという場にはまっている。

……書いていて、「この感じ、読む人とうまく共有するのが難しいなあ」と今改めて実感しておりますが、要はですね。「合う場と合わない場」がない感じなのだ。どこにでも合う、どこでもやれる、どこにでもはまる、そんな、いわば驚異のニュートラル・ゾーンに立っている、そういうバンドだということなのではないか。
と書けば、ちょっとは共有していただけただろうか。自分で機材バラして機材車に積んでいそうな感じにも見えるし、グリーン車で移動しているようにも見えるし、みたいな。よけいな比喩を足したおかげで、かえってわかりにくくなった気がしてならないが、とにかく、そのような新鮮さを、このツアー・ファイナルから受け取りました。
場に合わせて変われる器用なバンド、という意味ではない。逆だ。つまり、どこにおいてもゆるがない、強い自分たちを持っている、ということだ。

って、あたりまえな結論で申し訳ないが、ほんとにそうだと思った。あと、こんなにシンプル極まりないのに、このように観るたびにいちいち新しい刺激を受けるし、新しいことを考えさせられる、という意味でも、ほんとに稀なバンドだと思う。(兵庫慎司)

1.風吹けば恋
2.とび魚のバタフライ
3.長い目で見て
4.真夜中遊園地
5.シャングリラ
6.一等星になれなかった君へ
7.どなる、でんわ、どしゃぶり
8.あいまいな感情
9.ハイビスカスは冬に咲く
10.ツマサキ
11.8cmのピンヒール
12.CAT WALK
13.染まるよ
14.余談
15.やさしさ
16.Last Love Letter
17.恋愛スピリッツ

アンコール
18.恋の煙
19.ハナノユメ
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