まず目を奪われたのは、舞台天井に飾り付けてあった白、ピンク、水色のローブ(羽衣)。それらがひらひらと風に揺れて、日が暮れると赤や青の照明に照らされてとてもキレイ!(本編後半の“electlyric”では、まるで深海の中を泳ぐような幻想的なシーンを演出)。そしてまず耳を奪われたのは、野音を取り囲む木々から聞こえる蝉の鳴き声。とにかくライブ開始から終了までミンミンミンミン鳴きまくっていて、「蝉うるさい(笑)」と蔡くんもMCでちょっとこぼしてたくらいだったのでした(対してなっちゃん=森本夏子/Bは、「この周りにいる蝉、めっちゃラッキーですね」と飄々とMC・笑)。
ライブ本編は17時40分にスタート。「宇宙温泉へようこそ! bonobosです! 3年前はずっと雨だったんですけど、みんなの日頃の行いがよかったですね(笑)。久々の野音なので僕らも気合い入ってるんで、最後まで楽しんでいって下さい!」と最初のMCで蔡くんが呼びかける。“sense of love”、“Thank you, My Buddy!”など新作『オルハルコン日和』収録曲をメイン・ディッシュとして、じわじわと野音の熱を高めていく。このbonobosのライブ特有の「じわじわ感」が何しろ気持ちよくて、中盤にホーン隊を呼び込んで届けた“今夜はGroove me”、“Mighty Shine, Mighty Rhythm”ではワーッと弾けるように盛り上がりつつ、心地よいオルガスムがなだらかに持続するような高揚感に誰もが体を揺らさずにはいられない。世界がずっとこんなだったらいいのになあと思わせるような、そんな解放的でハッピーなバイブスに包まれていると、なんだって不可能はないような気がしてくる。そう、僕らをあらゆる軛(くびき)から解き放ってくれる音楽、それがbonobosだ。
終盤には「bonobosは今年で7〜8年目なんですけど、こうして何とかやってこれて恵まれてると思います。将来どうなりたいかっていうことをうっすら考えてて、でもあまりよくわからなくて、とにかくみなさんに信頼されるような、そんなバンドになりたいなと思ってます」(蔡)と、改めて所信を表明する発言も飛び出して、バンドのこれからに懸ける強い意志を感じさせた。アンコールでは、みんなで“THANK YOU FOR THE MUSIC”を盛大にシング&クラップ。再び輝くような祝祭感が野音を包み、最後にステージ前で両手を掲げるメンバーに万雷の拍手が送られた。それは、蔡くんの願いが既に現実のものになったことを証明する感動的な光景だった。(奥村明裕)