開演時間から10分ほど経ち、照明が消え、地鳴りのような大歓声とともに"セプテンバーさん"のイントロが鳴る。1万人以上の手拍子がスタート。ここから2時間半以上にわたって、幾度となく大きな興奮と感動がおしよせる壮絶なライヴをRADWIMPSは見せつけた。
今春のバンド史上最大のツアー"春巻き"を経て、バンドの力量は格段とアップした。次々と曲を繰り出しては、超ハイブリッドな最新型ロックをスケールアップしてみせた。野田洋次郎の歌は、伸びやかで美しく、深い感情がこもっていた。現在の4人のメンバーが出会った場所ということもあり、初期の曲を多数披露。格段に向上した表現力でもって、楽曲の世界観をよりディープに広げていた。
超レア曲"おっぱい"をアコースティックで、しかも野田以外のメンバーがヴォーカルをとる特別仕様で演奏したり、最後は野田がファンの手を触りながら客席内を走り回ったりするなど、本当にスペシャルな内容だった。そして、RADWIMPS というバンドが持つ革新的かつ巨大なポテンシャルに圧倒された。
ラストのラストで演奏されたのは、なんと“もしも”。数年間封印していた楽曲を1フレーズ演奏し終わった後、アリーナの照明がつき、ステージ上の4人と1万人以上のオーディエンスの笑顔が照らされた。素晴らしいライブだった。(小松香里)