9mm Parabellum Bullet vs the HIATUS @ 渋谷クラブクアトロ

「武道館ワンマンまでやってのけた爆裂轟音バンドと、今や日本ロック界屈指のスケール感とダイナミズムを描きつつある音楽集団が、キャパ数百の渋谷クラブクアトロで対決!」的なあざとい煽りは、9mm Parabellum Bullet/the HIATUSの2組の神々しいほどのロック開拓者っぷりの前では、そしてあたかもロック爆心地に自らも手榴弾を手にして集まるような切迫したオーディエンスのテンションの前では、あまりにも野暮というものだろう。全国20公演に及ぶ9mm Parabellum Bulletの対バン・ツアー=『9mm Parabellum Bullet TOUR 2010「命ノゼンマイ大巡業」』11本目、東京公演@渋谷クラブクアトロは開演前からむせ返るような熱気、熱気!

それこそthe HIATUS以外にも、山嵐/LITE/WRENCH/sleepy.ab/
Northern19/BIGMAMA/TRICERATOPS/THE BAWDIES/the telephonesと、音楽的に実に自由かつエクストリームな進化を遂げているバンドたちとのガチンコ対決ツアー。「00年代ロック・シーンの寵児=9mmのツアーに、こんな多彩なバンドが集結!」とかいう呑気な話ではまったくない。気を抜いた瞬間に相手の音の切っ先が喉元を突き破る、まさに真剣勝負の大巡業。この日もそうだ。対バン相手にthe HIATUS? よほど自分たちの音楽に確信を持っているバンドでなければ、まず考えつかないはずだ。

そして。18:30ジャストに鳴り響く、トライバルなパーカッションのSE……the HIATUSの5人が登場! “Curse Of Mine”の赤黒く渦巻く音像で幕を開け、“Storm Racers”でエンジン爆発大疾走!……という流れは、the HIATUS自身も昨年のツアーから練り上げてきたものだが、この日の彼らの音はよりハダカな感触をもって響く。そりゃそうだ。彼らの雄大なサウンドスケープが鳴り響く場所としては、ピアノや歌の残響もほとんどないクアトロは明らかに小さい。だからこそ逆に、the HIATUSという音楽の核心部分をリアルに体感するにはこの上ない体験となった。9mmの無軌道な爆発感とはまったくベクトルこそ異なるものの、ロックの足枷に囚われずに音楽表現の自由度を探求し続けているthe HIATUSが鳴らす音の1つ1つが、クアトロ全体を波動のように揺さぶっていく。

“Antibiotic”の幾何学的な静寂の世界から一気に“The Flare”の紅蓮のエネルギー大放出へと到達したり、“Lone Train Running”ではアウェーであるはずのこの日のクアトロでフロア一丸の大合唱へとオーディエンスを導いたり……と、the HIATUSの音楽の強度と美しさを存分にアピールしまくっていく5人。沸き上がる大きな歓声と拍手に、思わず「9mmファンはあったけえなあ!」と細美。「あったけえのはありがたいけど、俺らもプロだから。『おっ、かっけえ!』と思った時だけ拍手してくれよ! ライブ観に来てまでおべっか使ってんじゃねえぞ!」という、このツアーの趣旨そのものに呼応するかのような真っ向勝負なMCに、会場の温度はさらに上がる。そう、「命ノゼンマイ大巡業」は呼ばれる側だって命懸けなのだ。ラストの“Insomnia”まで全10曲、あっという間の40分だった。

そして19:44、いよいよ9mm Parabellum Bullet登場! よりマーズ・ヴォルタ度(?)を増した卓郎&滝のヘアスタイルに驚く間もなく、4人が叩き出したのは……問答無用の轟音三三七拍子“Cold Edge”! ジャッジャッジャ、ヘイ!といきなり飛び出したコール&レスポンスが、この曲の熱烈アンセムぶりを雄弁に物語っている。メタルやハードコアから受け継いだ9mmの「衝撃音楽」としてのカオス感はますます強まっているが、その音はもはやメタルでもハードコアでもパンクでもロックンロールでもない。というか、そもそもそれらを掛け合わせただけのバンドには、“Psychopolis”のような不穏に切迫した音像でもって、フロアを歓喜の限りのハイジャンプへ導いてしまうなんていうマジックは起こしようがない。が、そんな激烈アクトの合間の卓郎のMCは「いやー、みんなよかったね、the HIATUS観れて。俺も『ラッキーだったな』と思って観てました」と至って普段着だ。「9ミニ……」と卓郎がつい噛んでフロアから漏れた失笑も、4人の即興演奏と「みんな、自由にやっていいからね!」という煽りでさらなる高揚感へ変えてしまう。

4月リリースのニュー・アルバムから、この日は新曲を2曲立て続けに披露。どちらも、ただでさえ一撃必殺のインパクトを持つ9mmの音楽世界を、格段に強さを増した卓郎のボーカル・メロディを軸に再編して超合金合体させたような名曲! 2曲目のほうでは、かみじょうが性急なビートを叩き出す横で和彦がウッド・ベースを弾いていたり、という場面も。「2010年代がどうだとか、いろいろあるけど……自由にやろうぜ!」と、卓郎はこの日のMCで繰り返し言っていた。ロックの時代性やメッセージから解き放たれた、完全に自由で壮絶な音のカタマリ。そんな今の9mmに相応しい、実にストレートな決意表明だった。the HIATUSと同じく約40分の本編を12曲で駆け抜けていった。

9mmのアンコール2曲で、激濃の2時間15分が幕を閉じた。「今度出る3rdアルバムは最高だと思うから」と卓郎もアンコールのMCで話していた新作『Revolutionary』は4月21日発売。そして、次の「大巡業」は3月3日・名古屋クラブクアトロ公演でTRICERATOPSと対決!(高橋智樹)
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