阿部真央@SHIBUYA-AX

阿部真央@SHIBUYA-AX
阿部真央@SHIBUYA-AX
阿部真央@SHIBUYA-AX
「20歳になりました。10代の頃に伝えられずにもやもやしている気持ちもみんなのおかげで、私の心も解けてちゃんと伝えられるようになりました。ツアーの最終日だけど、私の20年間の集大成と思って今日はライブをしています」

今年1月24日に20歳の誕生日を迎え、同月27日に発売された2ndアルバム『ポっぷ』を携えて行われた初の全国ツアー『阿部真央らいぶNo.1』。全国13ヶ所を周り、各地でソールドアウトの大盛況ぶりを見せる中、追加公演として決まったSHIBUYA-AX公演。もちろん、チケットはソールドアウトしており、会場は溢れんばかりの熱気が渦巻いている。彼女の20年間の集大成として、伝えたいことを真っ直ぐに伝えるという至極真っ当な想いと、それが伝わるということを知った時のこの上ない喜びを全身で表現するパフォーマンス、そして、集まったオーディエンスの阿部真央への愛情の深さ、すべてが重なった素晴らしいライブだった。

場内暗転とともに、バンドメンバーがステージに姿を現すと、オーディエンスはドドッとフロア前方に詰め寄り大歓声で溢れ返る。そして、いよいよ阿部真央が登場だ。ショートパンツに白いチュニックと黒のベストを合わせたシンプルな出で立ちで颯爽とステージに現れ、アコースティックギターを抱える。アルバムのオープニングを飾る“未だ”でライブは幕を開けた。バンドによるダイナミックな演奏に劣らない圧倒的な声量で会場を制圧する。「待ってたかい、しぶやーーー!!」と大声で叫び、“ふりぃ”で振り絞るように吐き出した歌声は本当に気迫に満ちたものだった。とにかく、歌の力が半端ない。

話出すタイミングさえ失うくらい、曲が終わってもフロアからの歓声は止まらない。それだけ、オーディエンスも阿部真央に今の歓喜を伝えたいのだ。「最後までよろしくお願いします!」と告げると、さきほどの荒ぶるボーカルとはまた違う伸びやかで澄んだ歌声を聞かせてくれる。“15の言葉”ではギターを降ろし、ミラーボールの煌めきの中で愛する人への素直な思いを歌う。「みんなの日常の生活の中で私の歌が、悲しくなったり、嬉しくなったり、切なくなったり、そういう存在であればいいなと思います」と言って演奏した“貴方の恋人になりたいのです”。たぶん、当初は阿部真央にとって個人的な思いを乗せたパーソナルなものだったはずだ。しかし、今は違う。聴く者の日常に入り込んだ共鳴できるものとして響いているから、オーディエンスとの心のつながりで曲に途轍もない力が宿っている。

「私の声や動きを目で見て、それがみんなに何か伝わってくれれば、私が歌っている意味があるかなと思います。言いたいことは伝えましょう」と言って“伝えたいこと”を全身全霊を捧げるように歌う。《相手の心に届くように/大きな声で歌え!》と直球ストレートにぶつける阿部真央に、オーディエンスは思いっきり拳を突き上げ大声を上げて歌を返す。そして、「今まで自分が歩いてきた道のりは決して胸をはって言えるようなものではないけど、その結果、こうして阿部真央を応援してくれる人に会えたのだから、それは本当に素晴らしいことだったんだなと思います」と話す。これまでの自分を受け入れることで揺ぎない自信を手に入れた彼女からは、ひたむきで素直な気持ちが止め処なく溢れていた。“いつの日も” “ポーカーフェイス”で本編ラストを迎えた後のアンコールを求める声は、本当に温かくて相思相愛とはこのことだと思わせる熱い瞬間だった。

そして、アンコールでついに彼女は今までの思いをすべてぶちまけた。10代の時、自分のことを好きになれなかったこと、でもこうして自分のことを好きでいてくれるファンに出会って自分のことを認めてあげられるようになったこと、完璧でいる必要はなく、今自分ができることを返すことが大事だということ……自分とオーディエンスをつなぐきっかけとなった歌で、彼女をいつも陰で支えていた母親のことを歌った“母の唄”を弾き語った。歌い出すまでギターを抱えながらしばらく上を向いていた。それは涙をこらえていたようにも見えたけど、実際はどうだか分からない。自分を自分で認めてあげられたことを産んでくれた母親に伝えるかのように、これまでにない鬼気迫るような歌とギターで叫び歌った。ただただ驚かされるばかりだった。

どこからともなく“I wanna see you”の大合唱が沸き起こり、全員がずっとダブルアンコールを求める意思として歌い続けていた。その声に応え、このために作ったという白いつなぎ姿でステージに勢いよく飛び出してきた阿部真央。どこまでも爽やかに6月発売のニュー・シングル『ロンリー』を披露。キラキラとした清涼感が会場を包み込む中、ラストは“I wanna see you”を元気いっぱいに届けてくれた。ジャンプを繰り返しながら、オーディエンスにマイクを向け一緒に歌おうと促す彼女の表情は本当に晴れやかな笑顔に満ち溢れていた。今日のこの日のライブが、いつかきっと彼女のストーリーの中でもターニングポイントとして語られることは間違いない、そういう重要な日だったと思う。(阿部英理子)


1.未だ
2.want you DARLING
3.人見知りの唄~共感してもらえたら嬉しいって話です~
4.ふりぃ
5.キレイな唄
6.15の言葉
7.貴方の恋人になりたいのです
8.マージナルマン
9.わかるの
10.伝えたいこと
11.give me your love
12.loving DARLING
13.いつの日も
14.ポーカーフェイス

アンコール1
1.母の唄

アンコール2
1.ロンリー(新曲)
2.I wanna see you
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