THE BACK HORN @ 日本武道館

THE BACK HORN @ 日本武道館
THE BACK HORN @ 日本武道館
THE BACK HORN @ 日本武道館
メンバーが映る画面、なし。だから当然、映像とかの演出もなし。照明は、ほとんど赤とか白の1色がガッて点くのみ。多い時もせいぜい2色で、ピンスポットもムービング(動くライトね)もなし。セットなどは特になし、ただ単に「ライブをやるスペース」として設けられただけの、Zeppとかみたいなステージ。メンバーの立ち位置、それぞれの間隔もそうで、普段ライブハウスでやっている時と変わらない。ザ・バックホーン結成10年にして初の日本武道館は、そんなライブだった。

いつもと違ったのは、全員がMCしたことぐらい。それから、そのMCで、武道館でやれることの喜びを、各自が言葉にしていたことぐらい(栄純は昔この武道館でバイトしたことがあるという話を披露。MISIAの搬出だったそうです)。あと、ベスト・アルバムのリリース・タイミングのライブなので、全キャリアを網羅する、代表曲連発なセットリストになっていたことぐらい。他はほんとに、AXやZeppで見慣れた、いつものバックホーンだった。かといって、「武道館だろうがライブハウスと同じようにやる!」と、意識している感じでもない。普段自分達がやっているライブを、ただ大きなところでやっている、それだけです、というか「それだけ」以外のことなんてハナから意識していないし計算もしていない、みたいな感じだった。

で、それが、すごくよかった。メジャー・デビュー以降のこのバンドのツアーは、たぶんほとんど観ていると思うけど、その中でいちばんよかったかもしれない。くどいけど、武道館だからよかったのではない。これまで観てきた中でいちばん演奏がしっかりしていた、リズムがどっしりしていた、テンションが高かった、アクションがかっこよかった、声がよく出ていた、総じて言うと表現力が豊かだった、リアルだった、必死だった、真摯だった、ジャンクだった、きれいだった、純粋だった、狂気に溢れていた――つまり、「どの点においてもアベレージが高い、だからいい」という、まっとうで質実剛健なよさだったのだ。10年かかって武道館をやったバンドが(しかも2Fのてっぺんまでちゃんと埋まっていた)、その初の武道館でそんなライブをやってしまうって、なんだかとても奇跡的なことだと思う。特にドラムのマツ。本当に、プレイがよくなった。

とにかく、このバンドにとっての集大成だし、一区切りである武道館だったけど、これまでのことよりも、むしろこれからのことが楽しみになるような、そんなステージだった。今、セットリストを書き写していて「あれ、そういえば“美しい名前”やってくんなかったんだ」とか、「ありゃ、“カオスダイバー”も“初めての呼吸で”もやってないじゃん、せめて“初めて〜”はやれよ!」とかいろいろ思い始めてきたけど、観ている時はもちろん、電車に乗って内容を反芻しながら帰ってくる時も、そんなこと全然気付かなかったから、つまりそのくらいいいライブだったってことだから、まあいいや。

って書いてシメようと思っていたら、最後に「いつもの」じゃないことが二つあった。本編ラストの“キズナソング”で、ステージ両サイド後方の幕が開き(って幕があったこと自体気づいてなかったけど)、20数名のオーケストラが登場。この感動的な曲を、ドラマチックに盛り上げた。そしてアンコール、ご覧の通り、バックホーンのアンコールの定番曲3曲をやってひっこんだが、拍手がやまずもう一度登場してやったのは、“冬のミルク”。バックホーンの最初のオリジナル曲であり、10年前、音楽専門学校で出あったメンバーでスタジオに入って、ブランキー・ジェット・シティの“ガソリンのゆれかた”をやってみたら演奏がまあひどいもんで、困ったマツが「おめえがメンバー集めたんだから、責任とってなんか曲作ってこい」と栄純に言ったら、作ってきた曲です。ある意味、バックホーンの才能や個性やカラー、そのすべてが最初の時点で既にあった、ってことを表している曲だなあ、と、聴きながら思いました。(兵庫慎司)

1.覚醒
2.野生の太陽
3.幾千光年の孤独
4.光の結晶
5.生命線
6.罠
7.世界樹の下で
8.ジョーカー
9.アカイヤミ
10.ひとり言
11.夢の花
12.未来
13.声
14.ブラックホールバースディ
15.コバルトブルー
16.刃
17.キズナソング

アンコール1
18.サニー
19.涙がこぼれたら
20.無限の荒野

アンコール2
21.冬のミルク
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする
音楽WEBメディア rockin’on.com
邦楽誌 ROCKIN’ON JAPAN
洋楽誌 rockin’on