エモーショナルで疾走感溢れるバンド・サウンドを武器に、同期シークエンスを絡めたダンス・ロックも披露しながらフロアに着火してくれたオープニング・アクトのCOLD KITCHEN。実力者揃いのバンドを率いて力強くカラフルなファンキー・ポップを次々に投下し、ものの数十分で完璧なシンガロング空間を生み出してしまった小久保淳平。そしてこちらもエモーショナルなロック・サウンドながら、リード・ボーカルを兼ねる飯田龍太の美しいピアノの旋律が印象的だったROSARYHILLという共演を経て、いよいよ今回の主役・COLORS DEPARTMENTがステージに登場する。
長尾達樹(Vo./G.)、蛇石徹(B.)、内海絵里(Dr.)の3人からなるCOLORS DEPARTMENTは、すでにプロのミュージシャンとしてキャリアを誇っていた長尾をはじめ、演奏スキルという点においては3人が3人とも非常に高いレベルにあるバンドである。抜けの良い歌声と多彩なギター・ワーク、そしてフックの効いたソング・ライティングで楽曲の核を担う長尾、動きのあるベース・ラインと美しいハーモニー・ボーカルで存在感を見せつける蛇石、それに正確かつパワフルなプレイでバンドの推進力となっている超絶女子ドラマー・内海。でも、逆に言えば「それしかない」バンドでもあるのだ。このトライアングルが描き出すアンサンブルは、極めてストイックで、無駄な音が聴こえてこない。2曲目に披露された“空気旋律” の疾走する爆音の中では、まるでそのことをタイトルにしたのかというぐらい、長尾の歌う旋律と言葉がクッキリと宙空で像を結んで浮かび上がっていった。
長尾:「自主企画ということで、特に向こうの二人の様子がおかしいですが、あんまり気にしないでいこうかな、と」
蛇石:「緊張し過ぎて、逆にハイになってしまって。そういうことだよね?」
長尾:「でも、気付いたの。俺もだ」
そんなことを言い合っているが、端から観る分には別段、緊張した様子は見られない。むしろ堂々たるパフォーマンスである。そして『彩声シキサイズム』の最後に収録された柔らかく温かいナンバー“オーライ”へと向かう。美しいハーモニー・ボーカルを披露する蛇石に対して、ドラマーの内海は演奏中にマイクに向かうことはほとんどないが、その口元には歌詞が浮かべられているのが分かる。つまり、彼女のドラムは激しいとか力強いとか音色が鮮やかということだけではなくて、歌の呼吸をきっちりと捉えたものなのだ。それによって長尾の歌はとても伸び伸びとしたものになる。全身を使った華麗なスティック捌きと同様、険しい表情からパカーンとした笑顔までコロコロと表情が移り変わる内海は、一曲一曲において、まるでその歌の化身と化してゆくようだ。
蛇石がベースでスーパーマリオのBGMを弾く中に内海がライブ告知をするというユニークな趣向もあったが、せっかく頑張って弾いているのに結局は内海に「うるさい」と怒られてしまう蛇石が不憫である。「さあ、ここからカッコイイよ!」と内海が煽って、アクロバットのように3者のサウンドが絡み合うスリリングなインスト・ナンバー“#9”や、攻撃的でダンサブルな曲調の上をエモーショナルな歌が走る“reverse”と右肩上がりのステージを構築していった。これから先、まだまだ多くの引き出しが開いてしまいそうなバンドである。活躍が楽しみだ。
COLORS DEPARTMENTは今後、大阪、名古屋、水戸とツアーを敢行し、ファイナルとなる7/17の下北沢CLUB251では、今回ROSARYHILLのステージにもサポート出演していたギタリスト・須一了祐(カラーズ長尾とはかつてのバンド・メイト)を含めてのスペシャル4人編成でパフォーマンスを行う予定。(小池宏和)
COLORS DEPARTMENT セットリスト
1.存在論
2.空気旋律
3.amakage
4.オーライ
5.stay
6.#9
7.reverse
8.life
アンコール
9.ever after