The Birthday @ Zepp Tokyo

オープニング・アクトのDOESの時点ですでに超満員の、『BLACK ROYAL 12 NIGHTS』ツアー最終日、Zepp Tokyo。20:00になると、ステージ袖に設けられたネオンが灯る。『The Birthday』、そして7月9日発売の新作のタイトル『MOTEL RADIO SiXTY SiX』。怒号のような歓声! 舞台は整った。イマイが、ヒライが、キュウちゃんが、そしてチバが登場。歓声はさらに高まり空気を震わせる。

イマイの6カウントから始まる“6つ数えて火をつけろ”に始まり、“モンキーによろしく”や“NIGHT LINE”など、いきなり序盤から畳み掛ける怒濤の展開。「Happy The Birthday! 13日の金曜日!」というチバのMCが、会場の不穏な高揚感に拍車をかけまくる。

初日のリキッドルーム公演の時点からそうだったが、このツアーでのThe Birthdayは目に見えて「攻めて」いる。1月の武道館までのThe Birthdayは、ひたすらどす黒く図太いロックンロールの幹を鍛え上げているような感じだったのが、ここでの彼らのアクトは、1つ1つのパートが勢いよく枝葉を広げて真っ赤な樹液をしたたらせるような、実に生々しいロックンロールを聴かせている。そんな彼らのモードは、“カレンダーガール”“LUCCA”“ガーベラの足音”といった『MOTEL RADIO〜』収録予定曲の1つ1つにはっきりと結実している。

特に、4人がそれぞれに気合いのフェーダーを競って上げまくっているようなこの日のライブで、特にすごかったのはイマイだ。時に6月の夜空を突き破らんばかりのぶっといソロを炸裂させ、時に“ラリー”のようなメロウな曲では感傷の底に沈んでいくような悲しいアルペジオを奏でる。チバ×イマイのアンサンブルがより完成形に近づいたことによって、“KIKI The Pixy”などの過去曲もかつてないほどビビッドに胸に響いてくる。

「あのね、今日、仲間に3時に生まれた子がいて……やらないつもりだったんだけど、やるわ」というチバのMCに導かれて披露されたのは“OLIVE”。《もしも君が汚い大人になってたら 僕が君を助けにゆく》という無防備な愛のメッセージ。しみじみとした感動がZepp全体に広がる。

『MOTEL RADIO〜』を締め括る美しいバラード“SHINE”から、最後は“PARTY PEOPLE”“Nude Rider”“アリシア”でアグレッシブに挑みかかり、本編終了。アンコールで再び姿を見せた4人。まずは“stupid”の「いったいここはどこなんだ! Zepp Tokyoの腹ん中だ!」に、フロアから突き上がる拳拳! そして新曲“涙がこぼれそう”。メロウで陰鬱なイントロから一気に高速8ビートとエモーショナルな歌メロの頂へと駆け上がる、切なくも熱い名曲。湯気が立ちまくるオーディエンスも最高の笑顔と歓声で名曲の誕生を祝福している。

ダブル・アンコールの“ALRIGHT”まで約2時間。いっつもThe Birthdayのライブは出音がでかくて鼓膜がキンキンして、それが「うおー、The Birthdayのライブ観たなあ」という充足感にも繋がっているフシがあるのだが、今日は「もっと聴きたい! もってでかい音で聴きたい!」と思ってしまった。それくらい。この日の4人の音は聴く者をロックンロール一色に塗り替えてしまう力を持っていた、ということだろう。最高の一夜だった。(高橋智樹)

1.6つ数えて火をつけろ
2.モンキーによろしく
3.焦燥のバラッド
4.NIGHT LINE
5.カレンダー・ガール
6.FUGITIVE
7.LUCCA
8.ガーベラの足音
9.ラリー
10.DISTORTION
11.BABY TONIGHT
12.WONDERFUL AMAZING WORLD
13.OLIVE
14.KIKI The Pixy
15.SHINE
16.プレスファクトリー
17.PARTY PEOPLE
18.Nude Rider
19.アリシア

アンコール1
20.stupid
21.新曲
22.MEXICO EAGLE MUSTARD

アンコール2
23.ALRIGHT
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