最新アルバム『CREATURES』を携え、4月からスタートした全国ツアー『CREATURES PARADE TOUR』のセミファイナル、JCBホール公演。ファイナルは6月27日(日)の沖縄公演なので、現時点でセットリストを明かせないのが残念だが、セミファイナルらしい華やかな演出によってアルバム『CREATURES』の1曲1曲に彩りが与えられ、より一層輝きを増していた。
初日のSHIBUYA-AXも観たのだが、ところどころ楽曲が入れ替わっているものの基本的な流れは変わらない。だから、だいたいの展開は分かっているんだけど、それでもそれぞれの曲が始まる瞬間に胸が熱くなったり、気持ちが高ぶったり、新しい発見があったりする、心揺さぶられるライブだった。毎回ここでこの曲をやって、最後はだいたいこれで終わって…という具合に展開がある程度見えていても、何度でも観たいし、何度でも感動できるというバンドが真のライブバンドだと思うのだけど、ストレイテナーはまさにそういうライブバンドだなと改めて思う。「ライブは生き物」とはよく言うけど、本当に生きたライブをやるバンドだ。
フロアを煽りながらグルーヴ感たっぷりのベースラインを繰り出すひなっち、髪を振り乱しながら全身でめためたにドラムを叩き上げるシンペイ、手練のフレーズを鮮やかに弾き倒す大山、絶唱したり、ピアノを鳴らしながらウェットに歌い上げたり、曲によって様々な表情をみせるホリエ。半円を描くように横一列に4人が並ぶ、このフォーメーションでライブをするようになってから、もうすぐ2年になろうとしているが、今いちばん自由に躍動しているような気がする。自然にステージ前まで迫り、堂々たるギタープレイでオーディエンスを煽動する大山も良かったし、ひなっちと大山が向き合って掛け合う姿も最高にかっこよかった。これまで以上に感情豊かなホリエの歌と、それに折り重なるシンペイと大山のコーラスも素晴らしかった。4人の自由が遺憾なく解き放たれている。
途中、懐かしい1曲も披露。シンペイ:「JCBホールのチケット買うくらいの人なら、今の曲も知ってるね。俺たちがリハで思い出すのに四苦八苦してた曲なのに……」ホリエ:「まあ、半分くらいは“TRAIN”かなと思ったでしょ」。会場爆笑。シングル『TENDER』に収録されている“SING”だ。ハイスピードに駆け抜けて、これぞテナーの真骨頂といえるビートをフロアに浴びせる。
そして、「好きに身体を動かしてノッてやってください!」とホリエが言って始まった“OWL”からの流れが生み出した横ノリのダイナミズムは最高に心地よい。たぶん、これからのストレイテナーに欠かせない要素だと思うし、今後のライブでも定番の見せ場となるに違いない。彼らのライブは観れば観るほどストイックに突き詰めていくタイプに見えがちだったけど、本当は湧き上がるような情動を全開に発する自由さを持っているんだなと思う。ツアー・タイトルどおり、「CREATURES=生き物たち」が「PARADE=練り歩く」ようなざわめきと精彩を放っていて全身の血が騒ぐみたい。初日の時も思ったけど、ひなっちが手拍子をフロアに求めた“Sunny Suicide”でのあの多幸感で溢れた空間は、自由度が増した今のテナーだから生み出せるものだ。会場中に舞った銀色の紙吹雪の相乗効果もあって瑞々しいメロディがよりキラキラと輝いていた。
ホリエもシンペイも「今日は(時間が経つのが)早い!」と言っていたけど、観ている側も本当にあっという間の2時間。テナーのライブを観終わると、いつもこれからの進化に期待をするのだけど、彼らは当然のごとく、その期待を超える進化を見せてくれる。『CREATURES』によってさらに押し広げられたテナーの世界観は今後いったいどうなっていくのか、本当に楽しみだ。(阿部英理子)