モーモールルギャバン@下北沢THREE

モーモールルギャバン@下北沢THREE
モーモールルギャバン@下北沢THREE
モーモールルギャバン@下北沢THREE
モーモールルギャバン@下北沢THREE
モーモールルギャバン@下北沢THREE
汗だくでドラムを叩くフレディ・マーキュリー、力強くキーボードを弾き倒す綾波レイ、そして極太ベース・フレーズをぶん回す『もののけ姫』のコダマが共存するステージ。そして、“サイケな恋人”でのフレディの「パンティー!」のコールに、『デトロイト・メタル・シティ』のクラウザー様やら『ONE PIECE』のチョッパーやらのコスプレ満載・フロア寿司詰め状態のオーディエンスが渾身の「パンティー!」レスポンスで応える!……という書き方をすると頭の中が「?」で一杯になってしまう方もいるかもしれない。が、そんなタガの外れたパーティー感こそが、京都から飛び出した鍵盤3ピース最終兵器=モーモールルギャバンの真骨頂である。つまり、この日の彼らのメジャー・デビュー・ミニアルバム『クロなら結構です』発売記念ワンマン・ライブ=『クロならワンマンです』は大成功だったということだ。

そもそも、ゲイリー・ビッチェ(Dr・Vo)にしても、T-マルガリータ(B・Vo)にしても、ユコ・カティ(Key・Vo・銅鑼)にしても、それぞれがリード・プレイヤーとして1つバンドを率いても不思議ではない技量の持ち主だ。“mobile call”のソウル&ファンクなビートにさりげなく32ビートのハイハットを挿入してみせる華麗なるドラマー=ゲイリー。歪み系からブラック系/ディスコ系のベース・ラインまで自由自在に繰り出すベーシスト=マルガリータ。どっからどう聴いてもギターにしか思えないキーボード・ソロからローズ・ピアノ/クラビネット/オルガンなどの音色を使いこなし、ジャズ/ロック/クラシックと多彩なアプローチを見せるキーボーディスト=ユコ。しかし、その3人が持てるテクニックとエモーションの限りを尽くし一致団結して演奏し歌うのは、“美沙子に捧げるラブソング”(どうしようもない安田美沙子賛歌です)であり、“君のスカートをめくりたい”であり、“パンティー泥棒の唄”である。しかし、「だがそこがいい!」という磁場を、バンドとオーディエンスが一丸となって作り上げている。ありとあらゆる「間違い」だらけの組み合わせが、モーモールルギャバンというバンドの音楽においては、この上なくエキサイティングで、スリリングで、ロックで、キャッチーですらある「正解」になってしまっているのだ。

この日の3人のコスプレに合わせて“もののけ姫”“残酷な天使のテーゼ”“ウィ・ウィル・ロック・ユー”とそれぞれに用意された入場テーマ曲。のっけから爆裂ドラミングを披露しながら、「ベース、コダマ! キーボード、綾波レイ! ドラム俺、フレディ!」といちいちメンバー紹介したり、「非常にドラムが叩きづらい! そりゃそうだ、フレディはドラムを叩かない!」とぴちぴちのズボンを脱いだりして爆笑を誘うゲイリー。律儀にコダマの真似をして首をぷるぷるさせてみせるマルガリータ。要所要所でがんがん銅鑼を叩いて狂騒感を煽りまくるユコ。メロディアスなバラードを歌おうが、インスト・パートでどんなに高度でスリリングなプレイを見せようが、ステージにいるのはフレディとコダマと綾波レイである。シリアスになろうはずがない。決して広くない下北沢THREEの空間には一面、終始爆笑と歓声が吹き荒れる壮絶な風景が広がっている。

フロア一丸大ジャンプのパーティー・チューン= “ユキちゃん”で沸き起こったでっかい高揚感! 立て続けに“ユキちゃんの遺伝子”を披露した後、「今の曲をYouTubeじゃなくてCDで聴いた人、手挙げて!」というフレ…… もといゲイリーの声に、フロア狭しと挙手、挙手、挙手! 「メジャー・デビューしました! どんどんチケット取りづらくなってやるからな!」というMCにも、パンツ下ろしてあわや全裸!?と思ったらその下にもう1枚パンツはいてて「J-POPではこれが限界なんだよ!」と逆ギレしてみせる図にも、ファンとの濃密な共犯関係、そしてメジャー・シーンにおける「異物」としての闘志と戦略が垣間見えて、思わず嬉しくなった。メタルとディスコとハードコアが秒速でスイッチされるような“野口、久津川で爆死”も、《恋してみたはいいけど毎日プレステ》というラブ幻滅ソング“サイケな恋人”も最高。エロもパンティーも満載の2時間弱のステージの後には、この上ない爽快感と、「もっと観たい!」「また観たい!」という飢餓感と、何より「音楽って面白い!」というワクワク感が残る。面白い。まだまだ面白いことになるに違いない、このバンドは。(高橋智樹)

[SET LIST]
01 Ca☆Na
02 mobile call
03 細胞9
04 カミノケヌケタ
05 POP!烏龍ハイ
06 SOS
07 俺、風呂入るトゥナイト
08 裸族
09 琵琶湖とメガネと君
10 美沙子に捧げるラブソング
11 コンタクト
12 君のスカートをめくりたい
13 ユキちゃん
14 ユキちゃんの遺伝子
15 悲しみは地下鉄で
16 パンティー泥棒の唄
17 野口、久津川で爆死
18 サイケな恋人
EC ランデブー
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