グループ魂のぱつんぱつんフェスティバル @ 秩父ミューズパーク

グループ魂のぱつんぱつんフェスティバル @ 秩父ミューズパーク - グループ魂グループ魂
グループ魂のぱつんぱつんフェスティバル @ 秩父ミューズパーク - JAPAN-狂撃-SPECIALJAPAN-狂撃-SPECIAL
すみません、今回に限り「即日ライブレポート」ではありません。「翌日ライブレポート」です。このグループ魂プレゼンツのフェス、21日・22日の2デイズ行われるのですが、21日に書いてしまうと明らかに2日目のネタばらしになってしまうと。通常のワンマンなら、それでもなんとかネタばれしないように書く方法もあるけど、今回はイベントの性格上、それだとレポートする意味がないと。じゃあ2日目に行けよって話ですが、2日目はホットスタッフ30周年イベント3デイズの3日目、YUKI vs 銀杏BOYZに行かなくてはならんと。そういう事情で、もう翌日ですが21日の模様をレポートさせていただきます。ご了承ください。

アルバムが18日に出たばかりだし、本来ツアーを回るところだけど、なんせ本業が他にある人達なので、今回はスケジュール的にできない。じゃあせめて、大々的に主催イベントをやろうよ――というような事情で開催になったのだと思うが、というわけなのでワンマンではなく、いろんな人達が出ました。事前に出演者名も発表されました。されましたが、我々が知っているのは向井秀徳アコースティック&エレクトリックと怒髪天とスチャダラパーぐらいで、あとはきいたことのない名前がズラズラ並んでおり、要はそれらはメンバーが手を変え品を変えネタを変えて次々と出てくる、ということなのでした。以下、時間軸に沿って、何が行われたかご報告していきます。スタートは13時、終演予定時刻は19時。

1.開会式
開演予定の13時からちょっと遅れて、メンバー全員がタキシードで登場、港カヲルのピアノ(本当に弾いている。間違えまくり。破壊曰く「今日がいちばんひどかった」。リハーサルの時のほうがましだったようです)に合わせて、開会を告げる合唱を披露。その後、カヲルさんがメンバー全員にビンタ食らわしたり、白ブリーフ&靴下&靴になったりしながら怒りまくる、おなじみの寸劇みたいなコーナー。ここでバイト君は、会場後方に掲げられたパネルに、メンバーそれぞれが出したお題に従って絵を描き、グループ魂の登場予定時間の17:30までに描き終わらないと、ライブに参加できなくなる、というミッションを受け、ステージを下りてそのままパネルのところまで走っていき絵を描き始める。このコーナーが終わった段階で既に5分以上押しており、「ああ、今日絶対ぐだぐだに押すわ」「終演何時になるかなあ」という思いを、4千数百人の胸に去来させる。

2.JAPAN-狂撃-SPECIAL
初めて知りました。大阪からきた4人編成のパンク・バンド。とてもヤンキーなたたずまい、ただしキャラを演じているのではなくてリアルにそうな感じ。速さと激しさとシンプルさ、及びそこはかとないポップさに、個人的には登場当時(80年代中盤ね)のラフィン・ノーズに近いものを感じました。グループ魂と同じキューンからデビューが決まっているそうです。クドカン監督の次回作『少年メリケンサック』にも出演しているそうです。音楽業界の方限定なひとこと説明をするなら、「もういかにも中山社長が好きそうなバンド」です。

3.いわき兄弟
福島県いわき市からやってきたという設定の、アコースティック・ギター(おそらく遅刻)、パーカッション(同じくバイト君)、歌(カヲル)の3人編成。3人とも座って演奏。カヲルさん、何故か常に斜め上方を見上げながら歌う。

4.ナイス警察
ボーカルは破壊、他に元グループ魂のメンバーからなるギター・ベース・ドラムの4人編成。このバンド名だし、頭脳警察の“悪たれ小僧”をカバーしていたので、まあそういうコンセプトのバンドだったのだと思われますが、リハ不足なのか、演奏技術的には若干残念な仕上がりでした。途中で破壊、「子供、ステージに上がれ!」と呼びかけ、数人がステージに上がる。で、上がったはいいが、どうしていいのかわからず、ただ破壊の後方にたたずむ。

5.ライムサワー
暴動と石鹸(SOAPと呼ばれていました)がMCを務めるヒップホップ・ユニット。DJは荒川良々と、そのサポートのたまの石川さんみたいな人。石川さん以外は全員キャップと緑&黄色の2トーンのジャージ姿。石鹸と良々はまだしも、クドカンの「似合わなさ」には目を見張るものがありました。オリジナル曲数曲と、グループ魂の“ペニスJAPAN”のヒップホップ・バージョンを連発した末、フリースタイルでMC同士のディスリ合いを披露。SOAPの、暴動に対する「すぐチンコ触る」「マザコン」というディスが爆笑を誘っていました。ちなみに、この辺で気づいたんだけど、1アクトごとに押すどころかどんどん巻いていき、彼らがステージを去って時計を見たら、入場者全員に配られたタイムテーブルよりも30分早い時間でした。イベントで押すのは普通だけど、巻くなんて例、きいたことがない。

6.家族対抗ぱつんぱつん歌合戦
破壊が司会、港カヲルの父と母・石鹸の父と母・遅刻の父と母と弟、の3組で歌合戦をするというコーナー。審査員は暴動とその母。港一家=父は北島三郎で母は川中美幸、石鹸一家=父と母で“四季の歌”のデュエット、遅刻一家=弟さんが尾崎紀世彦の“また逢う日まで”を熱唱。審査タイムに、暴動母が“冬ソナのテーマ”に合わせて日舞を披露。死ぬほど恥ずかしそうなクドカンの姿に爆笑しました。ちなみに優勝は遅刻一家でした。明日は、破壊・小園・バイト君の家族が登場すると思われます。

7.向井秀徳アコースティック&エレクトリック
と名乗りながらも、今日はエレキは使わずアコギのみ。大変な美しさとテンションと緊迫感を持った弾き語り、その切れ味は観る度に増しているような気がする。のはいいんだけど、“KIMOCHI”など弾き語り時の定番曲を3曲たたみかけたと思ったら「それでは、みなさんもよく知ってるバラードをやります」と、歌い始めたのは、なんとYUIの“CHE.R.RY”。続いてまた「それでは、みなさんもよく知ってるバラードをやります」の言葉のあとに、松任谷由実の“守ってあげたい”を朗々と歌い、大いに盛り上げる。すばらしい。ただ、どっちもバラードではないと思う。

8.グループ魂
本日のトリ、荒川良々のDJをはさんで登場。以下、全部で約20曲(なんで「約」なのかというと、“大江戸コール&レスポンス”みたいなしゃべりのみの曲を、1曲としてカウントしてよいかどうか悪いか、ジャッジに悩むところだからです)を熱演。頭3曲、アルバムからの新曲を連発して、暴動が思わず「こんなに新曲ばっかりでお客さん大丈夫?」と心配する。途中、バイト君が二人になったり、そのもうひとりのバイト君がホーンを吹いたり、お母さん3人がボンボンを持って出てきて息子の隣にたたずんだり、ネタや演出盛りだくさん。濃かった、とにかく。堪能しました。その他、客席最後方に小さなステージ(というかほぼお立ち台)が設けられていて、そこで大人計画の顔田顔彦が延々手品を披露していたり、そこに紙オケ(大人計画の平岩紙が主宰するオーケストラ)が混じったり、1アクト終わる度にカヲルさんが出てきてつなぎのMCしたり、ライブ以外もいろいろありました。終わって時計を見たら、19時の10分前だった。

最後にひとつだけ言っていいでしょうか。経済効率、悪すぎ。この2日間のためだけにネタを考えたり、曲を作ったり、ユニットをでっちあげたり、それぞれの練習をくり返したり。ご本人たちとスタッフの、ここに至るまでの準備を想像して、気が遠くなりました。おかげでこっちはすごく楽しかったけど、「大丈夫?大人計画」「これクドカンや阿部サダヲのすべての仕事の中で、もっとも割が合わなくない?」と、心配になりました。せめてDVDにするとかして、少しでも元をとってほしい。(兵庫慎司)
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