4月に行われたツーマンライブツアー「ROCK THE SASUGA」、さらにROCK IN JAPAN FES. 2010を含むいくつかの夏フェスへの出演と平行して行われた8月の全国ツアー「真夏不思議アドヴェンチャーへ!」。そしてその合間を縫って3枚のシングルリリース、そして本日10月13日発売のニューアルバム『ADVENTURE』と来年春にリリース予定の4枚目のアルバム『ACME』の制作と、ここ数ヶ月のmonobrightの活動には目を見張るものがある。というのも、ご存知の通り彼らは今年2月に「monobright DO10!! 攻約宣言」と題した彼らの今後の活動を記した10箇条の公約を掲げており、目下その攻約を守らんと完全に常軌を逸した超過密スケジュールでの行軍を敢行しているのである。その攻約はこちらで参照できるので、未見の方やもう一度確認しておきたい方はぜひチェックしてみてほしい。(http://ro69.jp/news/detail/30968)
そして現在行われているのは「DO10!! 攻約宣言」の後半戦の行方を占う上での重要な試金石となる、東名阪のクアトロを回るレコ発ツアー「真夏不思議アドヴェンチャーZ!」。その初戦となる渋谷クアトロで行われた今日のライブは、これから名古屋と大阪でのワンマンが控えているので詳しい曲名やセットリストを書く事ができないのだが、大きな変化の道程にあるmonobrightの「今」がはっきりと表われた、いつになくコンセプチュアルで実験的なライブとなった。
ライブ序盤は、存在感抜群のアジテーションを繰り返しながらスケール感抜群のバンドサウンドでオーディエンスを怒濤のダンス地獄に叩き落とす、これまでのmonobrightのライブではおなじみの展開が続いたものの、その後の展開はいつもと決定的に違っていた。ほとんどMC無し、アジテーション無しで、粛々と新作『ADVENTURE』からの楽曲を畳み掛ける、恐らく初の試みとなるであろう、アルバムタイトル通りの「冒険」が始まったのだ。
既に色々な所で書かれているように、『ADVENTURE』は今までの彼らのキャリアの中からしてみるとかなり実験的な曲が多く盛り込まれていて、曲目ごとに雰囲気がガラッと変わる、深い森の中をコンパスも持たずに手探りで進んでいくような、monobrightにとっては大変な冒険作だ。いきなりギターを置いて、キーボードを使った浮遊感のあるアンビエントなサウンドを繰り出してくるおとなしめの桃野に慣れていないオーディエンスは、初めはどうしたらいいのかわからないといった様子で、直立不動でステージを見つめている。ロマンティックで美しいミドルチューン“雨にうたえば”では、「兎にも角にも踊り狂わせられれば勝ち」であった以前の彼らにはなかった、湿り気を帯びたスケールの大きな幽玄さがフロアを完全に圧倒していて、終わると同時に大きな拍手が起こる。オーディエンスが歌とメロディの美しさに集中して聴き入って、終わると同時に拍手や歓声が上がるmonobrightのライブというのは、なんだか少しシュールな趣がある。
そして、今までにない彼らの空気感がフロアを圧倒する中で“孤独の太陽”をプレイ。個人的に、ここでのこの曲は、昨年の11月にリリースされた時と今日とでは全然違う鳴り方をしていたように思う。ともすれば、今までのファンを置き去りにしてしまうかもしれないほどの革新性を持った実験作『ADVENTURE』をリリースした彼ら。オーディエンスに届くという絶対的な確信は無いのかもしれない。孤独感がつきまとってくるかもしれない。それでもこの道を行く。そんなバンドの決意のようなものが、このストイックで力強い楽曲をプレイする今日の彼らから迸っていた。
このままラストまで「聴かせる」ライブに徹するかと思いきや、そこで終わらせないのが、決して一所に留まることをしないのが今のmonobrightであり、『ADVENTURE』だ。有無を言わせずオーディエンスの「踊る脳」を刺激する、問答無用のキラーチューン“JOYJOYエクスペリエンス”のイントロが鳴った瞬間、オーディエンスの拳が天高く突き上がり、彼らの繰り出す突破力のある強烈なビートでフロアは再び狂騒渦巻くダンス地獄へ急転直下。そのままハードコア、レゲエ、その他様々な音楽的冒険を繰り返し、最後までオーディエンスをしっかりと踊り狂わせながらアンコールまで一気に駆け抜けた。
始まりから終わりまでの約一時間半、ひたすら「何でもあり」状態だった彼らの今日のライブは、今まで見た中で間違いなく一番monobrightらしくないライブだったと思う。賛否両論、色々な意見もあるだろうが、全員が全員度肝を抜かれたことは間違いないだろう。そして、それこそが彼らが『ADVENTURE』で目指したものであり、今のmonobrightのモードなのだろう。そういった意味においては、今日のライブは彼らの今をこれ以上無いぐらい提示してみせた大成功のライブであったと言えよう。これが一般的に見て是であるか非であるかの判断はつけられないのだが、ほとんど無節操に多様な音楽ジャンルを取り込んでどんどん「面白く」広がっていく今のmonobrightの無方向性、筆者個人としては断然支持だ。(前島耕)
monobright@渋谷クラブクアトロ
2010.10.13