「ここでメンバーを紹介したいと思います」
「後半戦、いきたいと思います。みなさん、一緒に盛り上がっていきましょう」
「今日はみなさん、本当にありがとうございます。とても楽しいライブになりました」
「みなさん、声を出していきましょう」
というような、ですます調を崩さない生真面目なMC。とてつもない倍率のチケットを手にして集まっている、つまり圧倒的な身内である3500人以上のファンを前にしながら、一切甘えたり寄りかかったりしようとしないこの姿勢。って、そこまで考えた上でのですます調ではなく、きっともっと無意識なものだとは思うが、なんかそういう、キリッとした、凛としたものを、ステージの上のYUIから感じないだろうか。私はいつも感じます。
あるいは、思ったまんま、感じたまんまを言葉にしてメロディにのっけて歌われる、シンプルすぎて、かつストレートすぎて、深読みも裏読みもしようがない歌たち。なのに、あたりまえのことを言われてるみたいな退屈さとは180度逆で、やたら胸に迫ってくる。あのひねりのなさ、てらいのなさ、まっすぐさ、正直さ、隠さなさと向き合うと、こっちも、てらいなく、まっすぐで、正直で、何も隠さずにいることを強いられているような気持ちになる。って、別にYUIは強いちゃいない。こっちが勝手にそういう気持ちになっているだけだ。だけなんだけど、そんな思いにさせてくれるアーティスト、そうはいないと思う。
個人的なハイライトは、ニュー・アルバム収録の“Love is all”。ミュージシャンとして成功したがゆえに直面した、メディア(ろくに音も聴かずに取材にきたライターとか)や世間の無神経さに対するフラストレーションを、そのまんま爆発させた曲で、ライブで歌われると、自分が責められてるみたいで思わず目をそらしたくなる。そらしたくなるけど、個人的にYUIの曲の中で5本の指に入るほど好きな曲でもある。(兵庫慎司)