YUI @ NHKホール

YUI @ NHKホール - YUIYUI
YUI @ NHKホール - YUIYUI
アルバム『I LOVED YESTERDAY』リリース・ツアーの東京公演、NHKホール2デイズの2日目。アンコールを含めてぴったり2時間、ニュー・アルバムの曲に加えヒット曲及び代表曲及び聴きたい曲満載のセットリストであり、デビューの頃を思い出すと信じられないくらい堂々と地に足がついたステージングであり、お客さんも大喜びであり(私の周囲だけかもしれませんが、なぜか中学生か高校生の男二人組が目立ちました。みんな、なんだかとても一生懸命な顔で観ていたのが、とても好感が持てました)、総じて大満足なライブであったわけだが、YUIのライブを観ると、いつもなんかこう、考えさせられてしまう。能天気に盛り上がる音楽じゃなくて、シリアスなロック(だと思う、どう聴いても)をやっているアーティストなので、考えさせられるのは当然っちゃあ当然なんだけど、例えば。

「ここでメンバーを紹介したいと思います」
「後半戦、いきたいと思います。みなさん、一緒に盛り上がっていきましょう」
「今日はみなさん、本当にありがとうございます。とても楽しいライブになりました」
「みなさん、声を出していきましょう」

というような、ですます調を崩さない生真面目なMC。とてつもない倍率のチケットを手にして集まっている、つまり圧倒的な身内である3500人以上のファンを前にしながら、一切甘えたり寄りかかったりしようとしないこの姿勢。って、そこまで考えた上でのですます調ではなく、きっともっと無意識なものだとは思うが、なんかそういう、キリッとした、凛としたものを、ステージの上のYUIから感じないだろうか。私はいつも感じます。

あるいは、思ったまんま、感じたまんまを言葉にしてメロディにのっけて歌われる、シンプルすぎて、かつストレートすぎて、深読みも裏読みもしようがない歌たち。なのに、あたりまえのことを言われてるみたいな退屈さとは180度逆で、やたら胸に迫ってくる。あのひねりのなさ、てらいのなさ、まっすぐさ、正直さ、隠さなさと向き合うと、こっちも、てらいなく、まっすぐで、正直で、何も隠さずにいることを強いられているような気持ちになる。って、別にYUIは強いちゃいない。こっちが勝手にそういう気持ちになっているだけだ。だけなんだけど、そんな思いにさせてくれるアーティスト、そうはいないと思う。

個人的なハイライトは、ニュー・アルバム収録の“Love is all”。ミュージシャンとして成功したがゆえに直面した、メディア(ろくに音も聴かずに取材にきたライターとか)や世間の無神経さに対するフラストレーションを、そのまんま爆発させた曲で、ライブで歌われると、自分が責められてるみたいで思わず目をそらしたくなる。そらしたくなるけど、個人的にYUIの曲の中で5本の指に入るほど好きな曲でもある。(兵庫慎司)
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

フォローする
音楽WEBメディア rockin’on.com
邦楽誌 ROCKIN’ON JAPAN
洋楽誌 rockin’on