19時を少し回った頃、照明が落ち、いつものゲイリー・グリッターのSEに導かれて3人が登場。そして一曲目、……うわっ、いきなり!? 福岡でのツアー・ファイナルが残っているので曲順は控えるが、とにかく、のっけから次々と勢いのある熱い選曲で押しまくる。ステージと客席とが、いきなり大胆にハグするようなぶっちゃけたコミュニケーションに、ドキドキした。じわじわと手を伸ばし探り合うようなかつての緊張感もいいが、最近のDOESのダイレクトな真っ直ぐさは楽曲にとても合っている。3月の『SUBTERRANEAN ROMANCE』ツアーのファイナルで印象的だったのは、長いツアーを経たバンドがとても自然体で楽しそうに演奏していることだった。この日のライブは、さらにその空気が加速していて、ぎっちぎちのフロア全体から笑顔がこぼれおちていた。「ライブが楽しい」なんてバカみたいに当たり前のことに思えるが、ことDOESに関しては、その変化を、なんだか改めて書き記したくなってしまうのだ。
「いい人だね。そんないい人たちにいい歌を歌うから、もうちょっと楽しんで」――後半の温かなMCが心に染みた。
この日は、“曇天”にちなんで、雨を歌った楽曲が多く演奏された。どしゃぶりの傑作“ステンレス”、汚れちまった白いアディダスで水溜りを蹴る“雨の日曜日”、“ウォークマン”のじれったい雨降りの交差点に咲いたアンブレラ……一曲一曲の詩情が豊かで、曲が始まるたびに新しい風景が塗り替えられていく。 “サマーサンセット”や“シンクロニズム”“田舎のライダー”など、来たるべき夏を待つじりじり熱い楽曲も多かった。
なんだか、過去の楽曲がどんどんどんどんよくなっていくのも面白い。“地下鉄曲”や“シネテリエ”など過去の曲がかなり違って聴こえるし、“サブタレニアン・ベイビー・ブルース”のイントロや“バスに乗って”など、前アルバムの曲もいい。しかもなんと、“陽はまた昇る”“デイ・サレンダー”という新曲も2曲披露された! ソリッドな疾走感がありながらもメロディがいい。まさに今の彼らが求められている楽曲で、初めて聴いたオーディエンスもにわかに反応していた。DOESらしい切れ味をもった“曇天”が、より多くの人に受けれられたという自信が、新曲からひしひしと感じられた。終演後、新曲について「のりしろが多いバンドだからね」とワタルは笑っていたが、まさに未知なる部分の広さがこのバンドの醍醐味だと思う。
7月6日(日)、七夕の前日の福岡のファイナルを経て、8月には「『曇天の道』追加公演〜雲の隙間に〜」も決定、夏フェスの出演もきまっているDOES。この夏、日本中のあちこちで、いい人たちに、いい歌をいっぱい歌って回ることだろう。(井上貴子)