NANO-MUGEN FES.(2日目) @ 横浜アリーナ

NANO-MUGEN FES.(2日目) @ 横浜アリーナ - ASHASH
NANO-MUGEN FES.(2日目) @ 横浜アリーナ - ELLEGARDENELLEGARDEN
NANO-MUGEN FES.(2日目) @ 横浜アリーナ - ASIAN KUNG-FU GENERATIONASIAN KUNG-FU GENERATION
ASIAN KUNG-FU GENERATION主催のフェス『NANO-MUGEN FES.2008』2日目。昨日に引き続き、伊地知と山田がステージに登場し、カウントダウンで幕を開けた本日は、8otto/ART-SCHOOL/HELLOGOODBYE/SPECIAL OTHERS/ASH/ELLEGARDEN/SPACE COWBOY/THIRD EYE BLIND/ASIAN KUNG-FU GENERATIONの9組が登場。各バンドのショートレビューをお届けします。

1.8otto

「HELLO! We Are 8ottoー!!」というマエノソノの掛け声から始まった8otto。オープニングから不穏な空気を醸し出し、8otto独自の鋭いグルーヴでオーディエンスを煽っていく。徐々に熱を帯びながら、新曲“Bomb”を披露。重厚なエイトビートに乗って、グルーヴィーに駆け抜ける。8ottoって日本の音楽シーンの中では結構異端的な位置づけにいると思うのだけど、今日のように洋楽バンドも入り乱れてのイベントとかだと物凄いその存在が映えると思う。もはや、洋楽とか邦楽とかの垣根を軽く飛び越えてその先を行った音楽を鳴らしている。後半、マエノソノがドラムから離れて、ステージ前方に出てきてアフリカ音楽で使うような打楽器でリズムを刻みながらマイクで歌ったり、最後の最後で彼らのライブではお馴染み、ステージをのた打ち回るようにハンドマイクでオーディエンスを煽り、「Say Ho!」とコール&レスポンスをしたり、終わりに近づくにつれて破壊寸前、カオス状態のパフォーマンスを今日もしっかりと叩きつけてくれた。

2.ART-SCHOOL

メンバーの登場とともに会場が大歓声に包まれる。MCで木下が言っていたが、ART-SCHOOLは03年、新宿LOFTで行われた第1回目のNANO-MUGEN FES.に出演している。それを意識してなのか、5年ぶりの登場となるこのステージでは結構、懐かしい曲のオンパレードだった。切り裂くようなギターサウンドでスタートした“Boy Meets Girl”や息を呑むような展開を見せた“MISS WORLD”、ひりひりとしたグランジ・サウンド全開の“水の中のナイフ”などなど。ライブでの人気曲を網羅したこのセットリストで、ダークで殺伐としたバンド・サウンドと美しいメロディが絡み合う轟音アンサンブルが終始会場を渦巻き、オーディエンスにその鋭利なサウンドの刻印を焼き付けていった。

3.HELLOGOODBYE

カリフォルニアからやってきたシンセ・パワーポップバンド、ハローグッバイ。いきなり、キュートでキャッチーなムーグ音炸裂のロックを響かせる! Weezerみたいな骨太でキャッチーなロック・ナンバーもあれば、ボーカルはヴォコーダー・ボイスで、シンセ担当のジェシーに加えてベースもシンセを担当して、2台体制で音を作るダフトパンクばりのダンス・ミュージックもあれば、マイナーコードで泣きメロを切なく聞かせてくれるバラードもある。ものすごい幅が広くて、聴いてて全く飽きがない。当然ながらオーディエンスも「フォー!(喜多君の盛り上げる時の掛け声です)」と声をかけて盛り上がる! 「ゲンキー?ヨコハマー!」と元気の良い挨拶をし、会場の掛け声に応えて奇声を発して大暴れ。ラストは“TOUCHDOWN TURNAROUND”でボーカルのフォーレストはステージ上を駆け回り、メンバーが入り乱れ、オーディエンスも興奮状態に! ステージの去り際には、そんな最高潮に盛り上がるお客さんを写真に収めて後にしました。

4.SPECIAL OTHERS

本日最初のDJ&ACOUSTICステージは、日本が誇るジャム・バンドSPECIAL OTHERS! メンバー4人とも横浜出身、しかも高校が横浜アリーナのすぐそばにある岸根高校だそうです。だから、一番最後にゴッチが言っていましたが、原付で会場まで来たそうです。そんなホームとも言えるこの横浜アリーナで、最初に鳴らしたのは“STAR”。軽やかに跳ねるようなリズムと鍵盤が奏でる心地よいグッド・メロディーが会場の空間をどんどん色鮮やかに埋めていくよう。煌びやかなサウンドを酔いしれるように奏で、“Laurentech”のコーラスを歌っているメンバーの表情はとても活き活きしていた。ソウルやジャズ、ダブを全て呑み込んだハイテンポなサビメロでオーディエンスも踊りまくった“AIMS”、そしてラストはファンキーなリズムに乗った“BEN”でピースフルに締めくくってくれた。

5.ASH

ASHの登場前に、再び伊地知と山田が登場。あまりの会場の熱気に「もう十分盛り上がってるね」と、二人が煽る必要もないほどの盛り上がりを見せたアリーナ。そこへ喜多が再び合流し、昨日もやっていた「男子フォー」(男子だけで「フォー」と叫ぶ)をまたやっていきました。

そして、昨日も登場して会場を大いに沸かせたASH。“Lose Control”で勢いよく幕を開けると、あまりの会場の盛り上がりに、ティムは満面の笑みで1曲1曲終えるごとに「Cheers!」と挨拶する。本当に楽しそうだ。“Burn Baby Burn”では特効の爆発音が鳴り響き、オーディエンスもシンガロングで迎え撃つ。“Renegade Cavalcade”では勢いあまってメインステージを超えて、隣のDJ&ACOUSTICステージまで走り出してギターをかき鳴らす。ティムの動きは昨日以上に激しい。観客から大きな反応が得られるとそれに呼応して、メンバーのパフォーマンスもより激しいものなっていくという相乗効果が目に見えて、すごく良いライブだ。ASIAN KUNG-FU GENERATIONにちなんで“Kung Fu”も演奏し、スピードに乗ってコール&レスポンスと手拍子で盛り上がる! そこから一転して伸びやかな“END of THE WORLD”でオーディエンスは手を横に振り、穏やかで幸せな空間を生み出し、ラストはシンセとピアノが静かに奏でられ壮大なオーケストレーションへと雪崩れ込む“Twilight of The Innocents”で感動的なハイライトを見せてくれた。最後、すべてを出し切ったという恍惚の表情でメンバー3人揃って肩を組んでお辞儀をしてステージを去っていったのが印象的だった。
(ここまで、阿部英理子)

6.ELLEGARDEN

もう、始まる前から異様な雰囲気。パンッパンのフロアも1Fスタンドも2Fスタンドも、もうなんか「むうぉーん」とか「ぬぅおーっ」とか擬音を付けたくなるような、1万数千人分の濃く重いオーラが立ち込めている。期待と悲しみと喜びと寂しさと、愛しさと切なさと心強さと……ってそれは今日の転換MCでゴッチがギャグに使った篠原涼子の往年のヒット曲だが、ついそんな脱線のひとつもしたくなるくらい、いろんなごっちゃになった強すぎる思いが渦巻いているみたいな空気。無論、それはエルレが活動休止カウントダウンに入っているからだけど、別に今日が最後ってわけじゃないんだけどなあ、まだこのあといっぱいライブあるんだけどなあ、と思って、そうか、今日が最後になるファンもいっぱいいるんだ、たとえ最後じゃなくてもあと数えるほどしか観られないんだ、と気付く。そう考えるとやむをえないけど、エルレ、人んちのフェスにお呼ばれしてこの空気っていうのは、正直やりづらいよなあ、と心配になる。

が、エルレは、そんな空気をかわすでもなく、かといって飲み込まれるでもない、きっとこれ以上ないであろうステージをやってくれた。みんなが聴きたい代表曲はいっぱいやってくれるんだけど、昨年の夏以降のフェスやイベントでよくやっていた「これぞフェス!」「これぞエルレ!」って感じの「あがりっぱなし」みたいな鉄壁のセットリストとは微妙に違う、ちょっとゆったり余裕を持って始まって(っていうほどゆるくないけど)、だんだん温度を上げていく感じの曲の並び。演奏も、すごいテンションなんだけど無軌道になったりタガが外れてしまったりはしない、なんかとても絶妙な温度。

1ブロック終わったところで、金髪になった細美、MC。「こんばんは、エルレガーデンです。アジカン、呼んでくれてありがとう」ってことと、「THIRD EYE BLIND、観たくても10年間観れなかったから今日はすごく楽しみにしてる」ってことをさっと告げて、すぐ次の曲へ。これは最後までもうMCしないだろうな、そうだよな、その方がいいよな、と思っていたら、後半、“Red Hot”終わりでもう一度MC。「楽しいねえ! 楽しいことは終わる気がしてたけど、やめなきゃいいんだよね。しばらくお休みするけど、それは通過点だし、こんな楽しいことやめられないと思います」というようなことを言う。思わず「上手い!」とか「偉い!」とか「完璧!」とか声をあげたくなった。休止にちゃんと触れて、でもアジカンのフェスで妙にしんみりしたムードを作ってしまったりするのでもない、完璧なあいさつだったと思う。しかもそれを、きっと狙いや計算じゃなくて本心から言っているのが、細美の素敵なところだなあとも思う。そのあとの“Make a Wish”の大合唱が、ひときわ美しいものにきこえました。ラスト、“ジターバグ”のエンディングで、細美「また会おうぜ!」と絶叫。「ありがとうございました」とステージを下りた。

7.SPACE COWBOY

出るのはDJ&アコースティック・ステージだけど、持ち時間30分ってことはDJじゃなくてライブってことだ。よかった。というのは、この人、DJあんまり上手くないのです。DJの曲の並べ方やつなぎ方ではなくて、バンドがセットリストを決めていく時のそれに近いのです。つまり――これは、アルバムは言うに及ばずアナログの12インチもすべて、それこそ「SPACE COWBOY REMIX」とさえ書いてあれば試聴もせずにすべて買うファンとして言うが――トラック・クリエイターとしてはすばらしいけど、DJとしては実はそうでもなかったりするのです(脱線するが、彼を認めて世に送り出した、ノーマン・クックことファットボーイ・スリムも、実はそうだと私は思っています)。

で、ライブとは言うものの、こういうタイプのアーティストだから、卓上に若干の機材とラップトップ、その前には本人だけというセット。時折マイクでフロアをあおったりちょっと歌ったりはするものの、そしてトラックはどれもどキャッチーで気持ちいいものの、やっぱりこういう大ホールで、バンドいっぱい観たあとだとちょっと寂しいなあ、と思っていたら、後半やってくれた。

アジカン“ループ&ループ”のリミックス(というかもうほとんど別の曲)でフロアをつかんで、自身のヒット曲“Talking In Your Sleep”が始まったと思ったら天井から……なんつうんだ? キラキラした紙吹雪みたいなのが一面に降り注ぎ、そしてステージには5名くらいダンサーが登場、にぎやかに場を盛り上げる。ただしダンサーつっても衣裳も振り付けも性別もバラバラで、要は彼のスタッフとか友達とかだと思うが、そのゆるさもまたよし。いい空気で次につないでくれた。

8.THIRD EYE BLIND

というわけで、西海岸の超大物にして、細美も楽しみにしていた、もちろんアジカンも楽しみにしていた、そしてパンパンのフロアもどうやら楽しみにしていた(昨日も書いたけど、ほんとお客さんいい方向に変わったよなあと思う)、おまけに1年目のフジロックに参加できなくて観れなかった(出ていたのです)私も楽しみにしていた、THIRD EYE BLIND。初めて観た彼らは、思った以上に、というか(私の)予想とは大きく違って、やたらパフォーマンスに長けた人たちだった。長身でシルクハット姿のスティーブン・ジェンキンス(vo)がところせましと動き回る。曲によって、バイオリンが加わったりする。その楽しさにつられて、気が付くと、フロア後方まできれいに腕が左右に振られていたりする。後半、曲の途中でドラムソロ、っていうほどテクのいらない、誰でも叩けそうなドラムソロ→次第にテクの必要な本当のドラムソロへ→ドラムソロ終了、スティーヴン、「エイジアン・カンフー・ジェネレーション、ドウモアリガトウ! エイジアン・カンフー・ジェネレーション、ドウモアリガトウ! エイジアン・カンフー・ジェネレーション、ドウモアリガトウゴザイマス!」と、何故か3回目だけ「ゴザイマス!」を付けてシャウト、さらにフロアの温度が上がる。最後の“Semi-Charmed Life”でシンガロングが巻き起こり、気分よさそうにステージを下りた彼らだった。

9.ASIAN KUNG-FU GENERATION

過去もそうだったように、昨日とまったく違うセットリストだった。1曲目の“フラッシュバック”や、“遥か彼方”や“未来の破片”や、本編ラストの“君という花”は、昨日はやらなかった。逆に、“アフターダーク”や“Re:Re”や、“振動覚”や“センスレス”は、昨日はやったけど今日はやらなかった。“ループ&ループ”や“リライト”や“転がる岩、君に朝が降る”はどっちの日もやったけど、順番も、そのライブの中で与えられた役割も、まったく違っていた。同じだったのは、アンコールまで合わせて全17曲のラストが、“新しい世界”だったことぐらい。あと、1回目のMCで、ゴッチがその日のすべての出演者への感謝の意を述べたことくらい(しかも名前を言ってお礼を言うだけじゃなくて、1組ずつコメント付き)。

総じて、フェスの主催者としても、トリのバンドとしても、ただ単にでっかいフェスに出てくるロック・バンドとしても、すばらしいライブだった、2日とも。別に「うわあすばらしい、なんてすばらしいんだ」とか思いながら観ていたわけじゃない。CDでもライブでも、もう飽きるほど聴いたはずの代表曲たちが演奏される度に「それにしてもいい曲だなあ」とか「こんなにいい曲だったっけ?」とかいちいち感じていて、途中で「あ、ってことは、すげえいいライブなんだこれ」と気付いた、という感じだった。ゴッチは昨日、声の高音部を出す時ちょっと苦しそうで、MCで「明日声出るかなあ……まあいいや、しぼり出すから」とか言っていた。現に今日も、昨日ほどじゃなかったけど、高音部が苦しそうな瞬間もあった。けど、どっちの日も、そんなことは全然どうでもよかった。我々は技術を聴きに来たんじゃなくて、もっと言えば曲を聴きに来たわけですらなくて、そこに込められた思いや決意や念を浴びに来たんであって、それを正に今浴びまくっているから、聴き慣れた曲たちがやたらすばらしく感じられるわけで……観ながら、そんなことをぐるぐる考えていた。

アンコールでTHIRD EYE BLINDが登場、一緒にBLURの“SONG2”をセッション。曲が終わってステージを去る際に、スティーヴンが自分のシルクハットをゴッチにかぶせる。ゴッチ、うれしそうに「これ大丈夫? このままやっても。モニターがないから自分じゃ見えないんだよね」と気にする。拍手と歓声。「じゃあこのままやろうかな」と曲に入ろうとしたら喜多が耳打ち。ゴッチ、「1曲やったら脱ぎなさいねって言われた」。場内爆笑。あったかい雰囲気の中、“アンダースタンド”“ワールドワールドワールド”“新しい世界”を連打、2日間が幕を閉じた。

最後に、今日のゴッチのMC。細美のMCに勝るとも劣らない、いい言葉だったので記しておきます。

「ほんとに、単純に、音楽を好きな人がもっと増えたら、もっといろんなことがよくなるような気がするんだよね。暗い世の中だって、そういうふうに思い込まされてる。そういうのに俺は音楽で対抗したいなと思う。みんなも、ひとりぼっちを感じることととかあると思うけど、そんな時は好きな音楽を聴いてください。そうすれば、秋葉原にトラックでつっこんだりするようなことは、しなくてよくなると思う。みんなの心の、ギュッとしたとこがフワッとほどけるような、そんな音楽を作っていきたいと思います」(兵庫慎司)
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