最高のロック・アクトだった。そして、「今ロックが何を鳴らすべきか」というメッセージを、何よりその音によって100%提示しまくった、至上のステージだった。1月28・29日のSHIBUYA-AX 2デイズ公演を皮切りに日本中を駆け巡った、追加公演含め計20本の全国ツアー『Dragon Ash Tour Rampage』。震災後の振替公演3本にも前日の横浜BLITZ公演をもって決着をつけた上で臨んだ、完全なるツアーのグランド・フィナーレである。ツアー初日のSHIBUYA-AX公演で観た時にも、「っていうかどっからどう観てもファイナルじゃんこの破壊力と完成度!」と感激を通り越して驚愕するしかなかったのだが、この日のDragon Ashはもう、「これって1バンドのロックの表現を超えてるんじゃないか?」というような、ひとつのロックの理想郷というかロック・ソサエティというか、そういうものを渾身の歌と音とパフォーマンスで描き出していくが如き途方もなくでっかい歓喜に満ちていたのだ。
“INTRO”の壮麗なファンファーレがZepp Tokyoに鳴り響いた時点で、フロアに轟々と唸りを上げるオーディエンスの絶叫と拳と魂! そんな会場の巨大なエネルギーと“RAMPAGE”のタフな包容力でもってがっちりギアを合わせたと思ったら、“SOCAIBLE DESTRUCTION”で一気に極限加速! そのまま“MIXTURE”“Revolator”と連射していく、Kj/桜井/IKÜZÖNE/BOTS/HIROKIの強靭極まりないアンサンブル、そしてその高揚感をダンス・パフォーマンスで可視化しながらさらに熱狂の彼方へと導いていくATSUSHI&DRI-V。そんなステージの熱量を、オーディエンスの1人1人が貪るように求めながら、会場全体に圧倒的なパワーを循環させていく……序盤だけですでに、フロアにはロック・フェスのヘッドライナーかってくらいのカオティックな狂騒感と、何よりそれを会場にいる個人個人が参加する形で作り上げているという充足感が満ちあふれている。
フロアまで真っ白にライトアップされた中で、会場一丸の大合唱とクラップが無上の祝祭感を描き出した“Life goes on”。ゲストMC=10-FEET・TAKUMAの「イェーイェー東京! お前ら元気か!! ぶっとんでいくぞー!!!!」という絶叫から珠玉のMCバトルへと突入した“SKY IS THE LIMIT”。そして、ラテンもパンクもハードコアも全部同時再生したような壮絶なアンサンブルを最高のロック・アンセムへと編み上げてみせるKjの堂々たるオーガナイザーぶり。赤裸々なフロア讃歌“Dear mosh pit”から狂熱のダンス・ビート“La bamba”へと雪崩れ込みながら「デタラメになっちゃえよ!」とオーディエンスの心を根底からかき回してダイナミックなロックの激流を生み出していく最高のアジテーション……それら1つ1つが、今この時を生きている僕らの決定的瞬間として強く胸に残る、そんなステージだった。
自身のツアーも大きな影響を受けてはいるが、Kjは震災やその後の状況については、ここまでの演奏やMCの中で多くを語らなかった。ただ、“静かな日々の階段を”の《みんな必死なんだ 負けんな》の言葉を、拳を掲げ、渾身の力をこめて歌い、「ミクスチャー・ロックは好きですか!」と叩きつけた“Fantasista”(勢い余ってTAKUMAが再登場して3人目のダンサーとして踊りまくっていた)では「停電とか余震とかでイライラしてたんじゃねえの? もっとデタラメになっちゃえよ!」と会場のキッズの心を丸ごと受け止めるように叫び上げた。そしてそれこそが、Dragon Ashの、Kjのロック・アーティストとしての何より力強いメッセージとして高らかに響き渡った。「俺たちはミクスチャー・ロック・バンドだから、それがただ好きでやってるだけだから、こんな時に気の利いた言葉も言えないんだけど。みんなのほうがいろんなこと考えてると思うけど……俺たちはミクスチャー・ロック・バンドだから、こうやってライブをやることで想いを伝えられると思うんで。またライブに足を運んでください!」というKjの言葉は、だからこそ切実な説得力をもって会場に広がった。ロックと生命を力いっぱい謳歌するような歓声が、フロアを隅々まで満たしていった。
山嵐・SATOSHI&GNz-WORD・KO-JI ZERO THREEを迎えた3MC編成で鳴らした強烈なミクスチャー闘争ナンバー“ROCK BAND”は、この日はひときわあったかく、優しくすら響くヴァイブをもって伝わってきた。そして、本編最後の“TIME OF YOUR LIFE”の後、暗転したステージに、メンバー・クレジットに続いて浮かび上がったのは「BUILD AGAIN SINCE 3.11」の文字……彼らの「ミクスチャーという闘争」が、その銃口を「音楽シーンの現状」から「人間を打ちのめすネガティヴィティすべて」へと向けたような見果てぬスケール感が、この日のDragon Ashのサウンドには確かにあった。
メンバーがステージから姿を消すと、「初春、某県、某サービスエリアにて……」という文字とともに流れた映像は、なんと高らかに松山千春を熱唱する桜井の姿。なんでもツアー中、徳島かどこかのサービスエリアで開催されていたのど自慢大会に飛び入りした時の模様らしいが、朗々とフル尺で熱唱する姿にフロアは大爆笑。アンコールで登場した桜井に「千春!」の声が飛んだことは言うまでもない。そして、アンコールの1曲目はなんと“陽はまたのぼりくりかえす”! 《ただ吸い込む空気さえもむしばまれそうな時代で それでも何かをさがして 夢を見つづける人もいたりして》という言葉とメロディが、そしてサビで沸き起こった大合唱が、何よりピースフルでアグレッシブな共闘の形として大輪の花を咲かせた瞬間だった。“陽はまた〜”の後、ステージ背後には「BUILD AGAIN」のメッセージ。最高だ。
続いて“天使ノロック”のスピード違反大爆走の激烈パンクでフロアの温度をさらに上昇させた後には、なんとBOØWYの“Dreamin'”のカバー! 「今日、布袋(寅泰)さんも観に来てんだよ! そんなんじゃ伝わんないんじゃないか?」の声に(そして2階席最前列でピースサインを掲げる布袋の姿に)とんでもない加速感を見せていたZepp Tokyoの熱気がさらにギアを上げる! そして♪Zepp Tokyoに咲いたFreedom〜と歌詞をアレンジした“運命共同体”で圧巻のフィナーレ……でも最高に美しすぎるところに、最後に“Viva La Revolution”! 手を携えともに闘いながら僕らは「今」を生きるべきだ――という信念と、それを体現するバンドの強靭な音の肉体が生み出した、眩しいロックの風景がそこにあった。(高橋智樹)
[SET LIST]
INTRO
01.RAMPAGE
02.SOCIABLE DESTRUCTION
03.MIXTURE
04.Revolator
05.Life goes on
06.ECONOMY CLASS
07.SKY IS THE LIMIT
08.AMBITIOUS
09.繋がりSUNSET
10.FIRE SONG
11.Dear mosh pit
12.La bamba
13.REBELS
14.静かな日々の階段を
15.百合の咲く場所で
16.Fantasista
17.SLASH
18.ROCK BAND
19.TIME OF YOUR LIFE
EC1.陽はまたのぼりくりかえす
EC2.天使ノロック
EC3.Dreamin'(BOØWYカバー)
EC4.運命共同体
EC5.Viva La Revolution
Dragon Ash @ Zepp Tokyo
2011.04.22