all pics by Yuki Shimbo新ギタリスト・フジイケンジを加えて新体制となったThe Birthdayの、全国4箇所のクラブクアトロを巡るショート・ツアー「Quattro×Quattro Tour'11」。6月にドロップされるアルバムのリリース・ツアーを待たずして行われた本ツアーにおいて、筆者を含むオーディエンスが最も期待していたのは、やはり、フジイの加入でThe Birthdayの、チバユウスケのロックンロールがどう変容したのかということに尽きるだろう。ご存知の通り、チバはこれまでにもそれぞれ個性の強いギタリストとの交感を通して、少しずつアウトプットを変化させながら最高のロックンロールを生み出してきた優れたソングライターである。そして今回の相手フジイケンジは、メジャーフィールドでも華々しいキャリアを持つ、百戦錬磨のセッション・ミュージシャンなのだからして、これは期待するなという方が、到底無理な話なのである。現に彼らの初邂逅が生み出した最新シングル『なぜか今日は』は、これまでのバンドの方向性を微塵も損なうことなく、その勢いを更に加速させた素晴らしい作品だった。この調子だと、既発の楽曲もさぞかし輝きを増しているのだろうと考えながら、100%期待だけを持ってツアーファイナルの会場となる渋谷クアトロに向かった。


暗転した会場にお馴染みのSE“Sixteen Candles”が流れ出し、超満員のフロアから、待望感に満ち満ちた怒号のような歓声が立ち上る。メンバーの登場。チバの「ハロー!」の一声。そしてキュウちゃんのシックス・カウントから“6つ数えて火をつけろ”がスタートし、フジイのアグレッシブなギター・フレーズが、瞬く間にクアトロを狂騒の渦へと呑み込んでいく。もう、この時点で圧勝である。その後は新アルバム『I'M JUST A DOG』に収録予定の軽快なスポークン・ワード系の新曲“Buddy”を経てから、リアレンジされて真新しく生まれ変わった既発曲を連打。攻撃的で尖りまくったフジイのギターに導かれ、更なる推進力を獲得したリズム隊の重厚なビート、そして破格のカリスマ性を搭載したチバのボーカルが一体となり、かつてない凶暴性とスケール感で砂埃を巻き上げながら転がっていく、新生The Birthdayのロックンロール。その底知れない迫力に圧倒されたオーディエンスは、一心不乱に拳を振り上げ踊り狂い、そこで生まれた熱気を取り込みながら、バンドの演奏はどこまでも激しさを増していくのであった。
「ちょっと前にさ、夢を見たんだけど。なんでかわかんないけどジーンズメイトに行ったのよ。なんか店員に勧められるがままに買ってたらさ、コーディネート料が5000円とかって言われて。で、激怒して起きた」。序盤に何度か見舞われたフジイのギターの音が出なくなるという機材トラブルを、こんなチバらしいMCや、シンプルなアレンジと歌の力で一点突破していく“オリーブ”で切り抜けてから、ライブは怒濤の中盤戦へ。ここからはほぼMC無し。ディストーションのかかったフジイの獰猛なギター・リフが目の前の視界をザクザクと切り開いていく“2秒”、ハルキのベース・ラインが激しく蛇行する“ダンスニスタ”と、オーディエンスを縦横に大きく揺さぶる楽曲を乱発し、楽曲の持つ求心力と説得力のみで場内のボルテージを無尽蔵にヒート・アップさせていく。
“LUCCA”“ALRIGHT”というロマンティックな楽曲が並んだブロックを抜けて、感動と熱狂が入り交じるフロアを“あの娘のスーツケース”で再び狂騒の渦へと叩き込んでから、ノンストップで“愛でぬりつぶせ”へ突入。サビの後に炸裂するフジイのギター・ソロの圧倒的なドライブ感がオーディエンスの高揚感を焚き付けて、場内が最高の雰囲気に包まれる。そして続く“なぜか今日は”“爪痕”の流れで現在の彼らの開かれたモードをフロアに強烈に刻み付けてからライブは急加速。「千秋楽だぜベイビー! The Birthdayに入ってから、本当に早くみんなに会いたかったです!」というフジイのブレイク中の言葉が、その後のフロアを更に激しく踊り狂わせた“Nude Rider”から、導入部分を丸々全部オーディエンスの大合唱に任せ、チバの「今渋谷クアトロだー!」という大絶叫と共になだれ込んだ超級アンセム“涙がこぼれそう”まで一気に駆け抜けた。
アンコールでは、チバの歌とギターが作り出すまっさらな空間に、メンバーが各々の色を足していくことでロックンロールの極北の風景を浮かび上がらせていく、本日2曲目となる新曲“I'm just a dog”を披露。続く“ローリン”ではチバがフロアに大音量のコールアンドレスポンスを巻き起こし、ショウのクライマックスを鮮やかに飾った。そして客電が点き、終演を告げるSEが流れ出しても一向に止まなかったハンド・クラップに応えて行われたダブル・アンコールでは、レナード・コーエンの“Hallelujah”のイントロから“ハレルヤ”をプレイ。大団円に向かって猛烈な勢いで熱を帯びていく演奏を、ラストの《なぁ奇跡ってやつをもう一回信じてみよう/真夏に咲いたポインセチアみたいに》という言葉で締めくくり、眩い光に包まれる会場を後にした。
フジイの加入により加速度的に転がり始めた、時間と空間を超越する巨大なスケール感を持ったThe Birthdayのロックンロール。その回転が、ロックンロールが実現しうる歓喜の果てのその先にまで我々を運び去ったのがこの日のライブだった。本当に敵無しだ。今のThe Birthday。(前島耕)
all pics by Yuki Shimbo[セットリスト]
1. 6つ数えて火をつけろ
2. Buddy
3. まぼろし
4. BABY TONIGHT
5. STRIPPER
6. オリーブ
7. 2秒
8. シャチ
9. ダンスニスタ
10. カレンダーガール
11. ディグゼロ
12. グロリア
13. MEXICO EAGLE MUSTARD
14. LUCCA
15. ALRIGHT
16. あの娘のスーツケース
17. 愛でぬりつぶせ
18. なぜか今日は
19. 爪痕
20. Nude Rider
21. 45CLUB
22. 涙がこぼれそう
アンコール
1.I'm just a dog
2. ローリン
ダブル・アンコール
1. ハレルヤ