J @ 新木場スタジオコースト

J @ 新木場スタジオコースト
J @ 新木場スタジオコースト
今年でソロデビュー14周年を迎えたJによる、夏の全国ツアー「14TH ANNIVERSARY SUMMER TOUR 2011 -THE FOURTEEN-」の新木場スタジオコースト公演。ファンの間では周知の事実だが、この「14」という数字は、子供の頃サッカー少年だったJが憧れていたオランダのヨハン・クライフの背番号であり、Jのラッキー・ナンバーでもある特別な数字だ。そんな彼にとって重要な節目となるアニバーサリー・イヤーを盛大に祝うべく、会場には大勢のオーディエンスが詰めかけた。また、Jは本ツアーを基本的にワンマンで回っているのだが、本公演に限りゲストとしてKING BROTHERS、女王蜂、dustboxが出演。世代/ジャンルを超えたこの3バンドの共演もあり、この日はまさしく一夜限りのスペシャルなライブとなった。

※ 本ツアーは今後、沖縄、台湾、香港での合計4公演が予定されておりますが、本レポートにはMC・セットリスト等が掲載されています。これからツアーに参加予定の方は、ネタバレにご注意ください。

■KING BROTHERS
1曲目“BIG BOSS”の投下と同時にKEIZO(Vo/G)、MARYA(G/Screaming)がアンプの上に仁王立ちして、いきなりオーディエンスの度肝を抜いた一番手はKING BROTHERS。「J、まずは14周年おめでとう! ここから始めないといけない! だってそうだろう、それを祝うパーティーじゃないのかい!」(MARYA)と、どす黒く塗りたくったガレージ・サウンドを前のめりにぶちまけていき、フロアを瞬く間に制圧した4人。その狂気のパフォーマンスはとどまることを知らず、終盤にはメンバー全員が楽器を持って(なんとドラムやアンプまでも!)ステージを降り、そのまま最後までフロアのど真ん中で演奏を披露。さすがは「西宮の狂犬」、なんとも衝撃的なオープニングだった。

■女王蜂
続いてはメジャー・デビューを3日後に控えた女王蜂。現れるなり、やしちゃん(B)、ルリちゃん(Dr)、ギギちゃん(G)による暴力的なアンサンブルにのって、本当に何かが憑いているんじゃないかとしか思えないような圧倒的な表現力で、美しいファルセットとドスの効いた低域ボイスを自在に行き来させ、みるみるうちにオーディエンスを釘付けにするアヴちゃん(Vo/Key)。MCではアヴちゃんが「今日の女王蜂の衣装のテーマは、Jちゃんのイメージ。なんか銀なイメージがあって」と、身につけているシルバーのチューブトップワンピを見せつけて、フロアを沸かせていた。自らの壮絶な生き様を、超一級のエンターテイメントへと昇華させて伝えていく彼女たちのステージは、やはりこの日も圧巻だった。

■dustbox
そして3番手はdustbox。入場SE“New Cosmos”のカウントダウンがゼロを告げ、打ち鳴らされたオープニング・ナンバーは“Break Through”! 彼らの瞬発力に優れたメロディック・パンクがフロアに共闘を促して、早速モッシュ、ダイブが大乱立! その後も眩い煌めきを放つ必殺の美メロを連射してフロアに狂騒を生み出していき、MCではSUGA(Vo/G)が「俺らはいつも男くさい感じでやってるんだけど、いつもは汗くさいんだけど、今日はなんだかいいにおいがします(笑)」とフロアの笑いを誘う。そしてこの日の多彩な共演者について、「このメンツを集められるJさん凄いわ!」と語ってから、ラスト“Tomorrow”まで、猛スピードで突破していった。

J @ 新木場スタジオコースト
■J
開演からおよそ2時間半が経過して、いよいよこの日のメインアクト・Jの登場である。まずは「飛ばすぜ!」の一声で場内に歓声を巻き起こしてから、意外なことに“I feel you”でライブがスタート。これにはたまらず飛び跳ねまくるオーディエンス。コーストの床が面白いほど揺れている。そして“speed”“RECKLESS”とたたみかけていき、「会いたかったぜー! 夏のツアーもファイナル、お前らようこそ! 今夜はツアーの数々の夜の中でも一番熱い夜にするぜ! 行けるかー!」と“break”へ。続く“PYROMANIA”では、フロア中のライターが一斉に着火! おぼろげな光の中、オーディエンスは盛大なシンガロングでJを祝福する。それを受けてJはマグマのように煮えたぎる重低ベースをスタジアム級のスケール感でぶっ放し、フロアの熱気を無尽蔵に上昇させていくのであった。

中盤には、「今夜は楽しむってことにフォーカスをあてて、全部投げ捨てて一緒にグルーヴしようぜ!」と雪崩れ込んだ“Vida Rosa”“So High”で場内の拳を高く突き上げさせてから、新曲を披露。サポート・ギターの溝口和紀(ヌンチャク)、藤田タカシ(ex.DOOM)のソリッドな硬質ギターで分厚い壁を作り上げ、それをJとスコット(Dr/ex. THE CULT)の重たいリズムでグイグイと前に押し出していくストロング・スタイルな展開で場内を圧倒。そして続く“SALVAGE”を終えたところでスコット以外の3人が一旦ステージからはけていき、スコットによるドラム・ソロのコーナーへ。まずは怒濤のバスドラ連打から、シンセサイザー、ディストーション・ギターと、様々な打ち込みの音に合わせてダイナミックなビートを繰り出して、オーディエンスを熱狂させる。

ドラム・ソロの途中で再び3人が登場し、そのまま突入した後半戦一発目は“NOWHERE”。そして「14年間も叫び続けるなんて思ってもなかったけど、今、こうして叫び続けてます! その感謝の気持ちを込めて、この曲をみんなにプレゼントしたいと思います!」と“walk along”へ。この超級アンセム2連発によって、すっかりカタルシスへと導かれてしまった新木場コースト。そここで生まれた高揚感をさらに燃え上がらせるべく、“Die for you”“go crazy”とアップナンバーを次々と投下していき、最後は「お前達のその胸の中にある炎、俺たちに見せてくれー!」と“Feel Your Blaze”でフロアに巨大なシンガロングを噴火させて、ライブ本編はひとまず終了。

アンコールでひとりステージに現れたJは、これまでのソロ活動を振り返りこんなことを語った。ソロを始めてから、ずいぶん色眼鏡で見られてきたこと。色んなことを言われてきたこと。はじめは長くやろうなんて思ってなくて、花火のようにパッとやるのがかっこいいと思っていたこと。でも今になって、そんなの誰でもできんだなって思うようになったこと。その時その時で本気で走ってきた14年間は、Jにとって誇りであるということ。そして、ここまで走ってこれたのは、自分の一人の力だけではなく、ずっと応援してくれているファンのおかげだということ。最後にこれからのことについて、「ホントにね、ワクワクしてんだよ。こっから俺たち、たぶん誰も見たことない世界へ突入してくと思うんだ。言葉ではそんなこと言えるけど、行けるかどうかなんて誰もわかんねえ。…でも、行ってみてえよな。やってみてえよな! それに気づかせてくれたのがこのツアーでした。これからもみんなで一緒に旅を続けていきましょう!」と告げてから、サポートメンバーをひとりずつ紹介しながら呼び込んで、“Go Charge”“TONIGHT”“BURN OUT”を披露。そして「次会うときまでの約束だ。お前ら、何があってもくたばんなよ!」という言葉を残し、ステージを去っていくJに向けて、フロアからはち切れんばかりの「J!」コールが送られた。(前島耕)

J
[セットリスト]
1. I feel you
2. speed
3. RECKLESS
4. break
5. PYROMANIA
6. Vida Rosa
7. So High
8. 新曲
9. SALVAGE~Dr. solo~
10. NOWHERE
11. walk along
12. Die for you
13. go crazy
14. Feel Your Blaze
アンコール
1. Go Charge
2. TONIGHT
3. BURN OUT
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