10月8日なんばHatchでのファイナルを控えているのでセットリストは明かせないが、首尾貫徹してメーター振り切れんばかりのテンションで絶頂を持続させていく展開は、今夜も健在。“Heavy POLYSICK”をバックに3人がステージに登場し、1曲目“Bleeping Hedgehog”をドロップするなり、全身にビリビリと電流が流れるような興奮が押し寄せる。3人になってから一枚岩のアンサンブルの生っぽさや骨太さが増しているのはすでに知っていたけれど、その凄みがさらに増していることにまず驚いた。ヤノが叩き出すタイトなリズム、フミが奏でる弾丸ビート、その上を縦横無尽に駆け巡るハヤシのギター、そのどれもが鉄壁なのに自由奔放。まるで何度も高熱にさらされ鍛え上げられたハガネのような、柔軟さと強さを兼ね備えたサウンドだ。ギター~ドラムのソロリレーでフロアを沸かせた“ハードロックサンダー”や、すでにお馴染みとなった間奏のパントマイムのような振りでフロアを一体にした“Mach肝心”など、1曲ごとにネタと見せ場を盛り込んだパフォーマンスもいちいちハマっている。その隙がない展開に、冒頭5曲を駆け抜けた時点でモッシュとダイブの乱立状態と化した場内には、早くもむせ返るような熱気が立ち込めていた。
しかし。今夜の大きな見せ場となったのが、この後。「3人になって初めてやる曲もあるかもしれない! 新木場~、キバキバ、キバッていこうぜ!」というMCに続いて、3人体制になって初お披露目の過去曲が満載だった中盤のセクションだ。なにが凄いかって、どの曲もまったく違う曲に聞こえるくらい大胆にアレンジされていたこと。例えばBPMをドラスティックに上げることでサビのドシャメシャな爆発力が飛躍的に増していた“ワトソン”しかり、逆にBPMを落とすことで妖しくアンビエントなグルーヴが形成されていた“ズーバーマン”しかり、音源とはまた違った興奮が生まれていて、思わず胸が躍ってしまった。特に驚いたのは、「久しぶりの曲を」と鳴らされた“MAKING SENSE”。シンセ音を抑えてギター+ベース+ドラムのみのソリッドさを強調したバンドサウンドは、デッカい火の玉が勢いよく転げ落ちるような激しさを湛えていてゾクゾクするほどだった。その他にも、あんな曲やこんな曲も驚きのアレンジで生まれ変わっていたのだけど、それは今後また別のライブで披露される日を期待していてほしい。「こういう感じで昔の曲も3人でアレンジを変えてやっていこうと思うので、お楽しみに!」とハヤシも言っていたとおり、たとえ新曲がなかろうと、常に度肝を抜く発想で観る者に新鮮な楽しみを与えるポリのポジティブな姿勢が見て取れた、とてつもなく強靭で幸福なセクションだった。
アンコールでは現在レコーディングをしていることと(今回もかなり面白いことになっているらしい)、来年3月3日に行う記念すべき通算1000本目のライブ「MEMORIAL LIVE OR DIE!!! ~祝!!! 1000本!!!『おめでTOISU!』と言ってくれ!!!~」への意気込みを語ったあとに、“YOUNG OH! OH!”“Boys & Girls”をプレイ。ラストは“Let’s ダバダバ”で今夜何度目かの頂点に上りつめてフィニッシュ。今夜はフロアから上がる「うおー!」とか「ハヤシー!」とかという歓声の圧倒的な男性率の高さが特におもしろかったんだけど、それもすんなり納得できるほど、ストイックで、男前で、最高にかっこいい100分強のアクトだった。
80年代ニューウェイヴをルーツとしたPOLYSICSのサウンドは、「キッチュなかわいらしさ」だったり絶妙な「外し感」だったり、オーソドックスなロックサウンドとは一線を画した「音そのものの面白さやポップさ」がベースとなっている。それは今でも変わらないし、最新アルバム『Oh! No! It’s Heavy Polysick!!!』を聴く限り、今後もその基本方針は変わらないだろう。と同時に、聴く者の胸を燃え上がらせるような激しさやタフネスというような、王道のロックバンドに流れているような熱き血が通っているのもまた、POLYSICSのサウンドだ。しかもその熱き血は、さまざまな危機を果敢に乗り越えてきた15年弱に及ぶバンドのキャリアを経て、目に見えてリアルなものになっている。だからこそ、一切の妥協や手加減を許さない彼らのライブは、音そのものの楽しさと同時に大きな感動に満ちているんだと思う。こうして着実に実績を積み重ねていくことで、唯一無二のポジションを年々不動のものにしているPOLYSICSは、本当に尊敬すべきバンドだと思う。ポリのライブを観るといつも思うことだけど、今夜改めてそう思った。(齋藤美穂)