アレンジにいろんなジャンルの音要素が詰め込まれていたりとか、言葉のビット数がラップみたいに多かったりとか、メロディやアレンジの緩急とか抑揚とかがジェットコースターのように激しかったりとか、そういうのとは正反対の、簡素とすら言っていいような音楽なのに……いや、「なのに」じゃなくて「だから」かもしれないが、そこに込められたものの「深さ」や「重さ」や「大事さ」がすごい。特に“バイバイ”と“満月の夜”の、「普遍」とか「スタンダード」とかに手がかかっている感じ、何度観ても、とんでもない。
誰にでも書けそう、でも聴けば聴くほど絶対に誰にも書けない。誰もが手をのばすけど誰もが届かない領域に、さらっと届いてしまっている。誰もが触りたくても触れない、それ以前にどこにあるのかも探り当てられないものの場所を最初から知っていて、ぺたぺた触ってしまっている。そういう音楽だと思う。
なんでこの人にだけこんなことが可能なのかは、わかりません。ただ、こういう人がいるんだなあ、という事実に、びっくりするだけです。と、びっくりしている間に、あっという間に終わってしまった、今日も。ラストは“ロックの神様”でした。
6月2日(土)『SAKAE SP-RING』で初の名古屋ライヴ、6月9日(土)なんばHatch『JAPAN CIRCUIT 山崎死闘編』と6月15日(金)BIG CAT/FM802『RADIO MASTERS』のイベントで初の大阪ライヴだそうです。お近くの方、今のうちに観ておいた方がよいと思います。(兵庫慎司)
1 穴だらけ
2 バイバイ
3 みじめちゃん
4 満月の夜
5 誰も知らない国へ
6 ロックの神様