バンド史上最長となるツアーのほぼ折り返し地点にあたるTDCホール2DAYS公演2日目。追加公演も含めると9月まで続くツアーなので、セットリストの詳細などについては触れないが、これまでの活動の集大成とも言うべき濃い内容であった。そして何よりも感じたのは、現在のflumpoolに漲る絶大な充実感だ。かなりハードでもあるはずのこのツアーによってメンバー個々の自信が深まったと同時に、バンド全体のコンディションも絶好調に至っているのだと思う。ライヴの冒頭の時点で、これまでの彼らのライヴとはひと味違うキレの良さを感じた。アッパーな曲が一気に演奏されたのだが、メンバー同士が随所でアイコンタクトを交わし、絶妙なタメやキメを経ながら急上昇したアンサンブルのヴォルテージ。山村隆太(Vo)が腕を振り上げて観客を煽っている間、阪井一生(G)と尼川元気(B)が小倉誠司(Dr)の側に行ってヘヴィなビートをダイレクトに浴び、心底嬉しそうな笑みを浮かべていた場面がとても記憶に残っている。最初の小休止に辿り着いた時、女性の観客同士が「やばいね!」と興奮したトーンで囁き合うのが聞こえてきた。
「次のライヴまでは大分間があるから今日は思いっきり行くよ! みんな大丈夫? 一番上のバルコニーの人、ステージをバンバン見下して観てください(笑)。遠くてごめんね。でも、1人1人の目を見て音楽を届けるので!」(山村)。「昨日、ライヴの本番20分前に友達からメールが来たんです。“会場に来たんだけど、巨人と西武戦やってる……”って(笑)。アホな子やから東京ドームとTOKYO DOME CITY HALLを間違えたみたい」(阪井)。というような最初のMCで和んだ後、シングル曲、様々なアルバムの収録曲、さらには未発表曲も交え、多彩な音楽性が目一杯に示されていった。演奏した曲をほんのちょっとだけ明かすと……観客がタオルを回しながら踊った“回転木馬”、美メロをじっくり聴かせた“フレイム”などは、ヴァラエティに富んだセットリストの中の絶妙なアクセントとなっていた。一際存在感を放っていたのは、7月11日にリリースされる予定の新曲、今回のツアータイトルにも掲げられている“Because… I am”。「俺らが信じた道を胸張って行こうぜ!」と山村が言葉を添えてから披露されたが、力強い前進の意思を鮮やかに示す曲であった。
また、“証”にも触れておきたい。「中学の合唱曲として書いたんですけど、たくさんの人に歌ってもらいました。僕らが作った曲だけど、今となってはいろんな人の歌になったのかなと感じています。この歌の主人公は皆。自分の歌だと思って一緒に奏でてくれたら嬉しいです」と演奏前に語った山村。その願いは叶ったはずだ。観客の歌声、揺らす身体が曲と一体となったあの光景は、とても素敵だった。
メンバーそれぞれのキャラクターがよく分かるエピソードを交えたメンバー紹介/「さっきから俺の目の前の床にカレーハウスCoCo壱番屋のメニューが置かれているのが気になって……」という阪井のもとにソーセージカレー(一番のお気に入りらしい)が届けられ、ステージ上で食すというワイルドな行動……などなど、演奏の合間のMCも楽しませてくれた。そんな中、特に印象に残っているのが、アンコールでの山村の言葉だ。「まだ未熟なバンドだけど、いつかこの会場の隣の東京ドームでやってやろうと思っています。でも、人をいっぱい呼べるバンドになりたいっていうことではないんです。皆の生活に貢献出来るバンドになってから、いつか東京ドームのステージに立ちたいと思っています。皆さんも、それぞれの場所で孤独だと感じることがあると思います。でも、大丈夫。今日のライヴで皆さんが浮かべてくれたその笑顔があれば、きっと幸せになれるから。皆さんが笑顔になれないと、僕らは音楽をやっている意味がないと思っています」。東京ドーム公演という大きな夢が示されて胸躍ったと同時に、flumpoolの活動の根底に脈打つファンに対する誠実さにも触れた気がした。
彼らにとってもこの日のライヴはとても満足の行くものだったに違いない。なにしろ当初予定していなかった1曲をアンコールの最後に追加してくれたくらいなのだから。バンドメンバー全員が挨拶をするためにステージ前方に集まったところ、「まだ終わりたくないよ!」と山村が突然言いだし、「時間、大丈夫?」とスタッフの様子を気にしつつも、すぐに演奏をスタート。観客は大喜びしていた。
ツアーはまだまだ続く。再び東京に戻って来る頃には、flumpoolはさらにパワーアップしているだろう。次に彼らのライヴを観る日が早くも待ち遠しい。(田中大)