THE BACK HORN @ Zepp DiverCity Tokyo

THE BACK HORN @ Zepp DiverCity Tokyo
「去年の地震があっていろいろと考えて。“世界中に花束を”という曲が生まれて、4人の意志が固まりました。それから東北でライブをやったり、全国を回ったりして外の空気を吸うことで、この『リヴスコール』が生まれました。まさに2011年を閉じ込めた音楽。これが皆さんの傍でいつまでも鳴ってくれればいいなと思います」――そんな松田の言葉が、今日のライブのすべてを物語っていたように思う。6月6日にリリースされたTHE BACK HORNの9thアルバム『リヴスコール』の全国ツアー初日となるZepp DiverCity Tokyo公演。「LIVE」と「SQUALL」というふたつの言葉を掲げた『リヴスコール』というタイトルさながらに、「生命の嵐」を片っ端から巻き起こしていくような気迫溢れるステージには、震災を経て、命を全力で燃やして生きていく意志を改めて固めた4人の「今」が、かつてない切実さで焼きつけられていた。

THE BACK HORN @ Zepp DiverCity Tokyo
『リヴスコール』収録曲を中心とした、アンコール含め全18曲で構成された100分強。ツアー初日のため曲目を明かすことができないが、それが心底歯がゆく思えるほど、鮮烈な驚きに満ちた演奏の連続だった。ある曲では松田のしなやかなビートが雄大な景色を描き出し、ある曲では岡峰の大きくうねるベースラインが荒波となって押し寄せる。そしてまたある曲では、栄純のメタリックなギターリフが雨あられのように降り注ぐ――。なにより、グルーヴが恐ろしく太い。それぞれ際立った存在感を放った3つの音が、ひとつの音の塊となってフロアに押し寄せたときの迫力は、まるで地球が躍動するさまを間近で見ているような感覚に陥るほど凄まじいものだった。

そしてもうひとつ驚いたのは、山田のヴォーカリゼーション。ときに優しく、ときに艶っぽく、ときに暴力的に放たれるヴォーカルは、見違えるほど表現豊かでエモーショナルになっていた。とくにスロー・チューンで放たれた歌声の美しさといったら。囁くような声質で幕を開け、サビに向けて徐々に熱を帯びていく歌声には、本当に豊潤なエモーションが宿っていた。それにより、ライブ全体の濃淡がよりハッキリしたものに。1曲ごとに濃密な世界を描きながらシリアスに上り詰めていくような展開には、かつてのバックホーンのライブには無かったような奥深いイマジネーションとドラマ性が潜んでいたように思う。

THE BACK HORN @ Zepp DiverCity Tokyo
アンコールでは、「これからツアーを回って全国の空気を吸って、ファイナルの日本武道館でまた皆さんと生命の嵐を感じたいと思います。これからもお互い音楽を聴きながら幸せな時間を過ごしていきましょう!」と述べていた松田。今日ここで聴くことのできた、命漲るロックンロールは、これからはじまるツアーを経て、さらに強靭なエネルギーを増していくことだろう。常に真摯な気持ちで音楽とオーディエンスと向き合い、「いま自分達が鳴らすべきもの」をダイナミックに解き放つことで、現実を力強く乗り越えていこうとするTHE BACK HORN。彼らの新しい物語は、今まさに幕を開けたばかりだ。(齋藤美穂)
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