クラクソンズ @ 渋谷O-EAST

クラクソンズは、ライヴが下手だ。ちょうど1年前だった初来日公演、コーチェラ、今夏のサマーソニック、そして今回と、彼らのライヴを観るのは都合4回目になるが、テクニック的にはお世辞にも巧いとは言えないバンドである。けれど、そんなバンドが、本国イギリスでは2007年最大の新人として扱われ、批評家が選出するマーキュリー・プライズでも最優秀アルバムに選ばれている。そして、この日の渋谷O-EASTにもほぼ満員の観客が詰め掛けていた。

ニュー・レイヴと呼ばれている彼らのサウンドは、80年代を思い起こさせるチープなシンセサイザーのキャッチーなメロディーを前面にフィーチャーしたものだ。けれど、この日のライヴでも、それはほとんど再現されない。ジェイミーのゴリゴリのベース・ラインと、既にだいぶ飲んできたのか、千鳥足のサイモンのギターによって、かなりの部分が掻き消されてしまう。しかし、じゃあライヴが楽しくないのかと言えば、そうでもない。多くのニュー・レイヴのアーティストが、その高揚感をキーボード・サウンドに頼るなかで、クラクソンズの音楽のなかでその高揚感を担っているのは、ヴォーカルである。ファルセットと低音を組み合わせた二声ヴォーカルが紡ぐ喚起力のあるメロディー。表層的なサウンドではなく、楽曲の根幹に彼らの場合は、いわゆるニュー・レイヴの高揚感が備わっている。だから、演奏がだいぶもつれようとも、このバンドのライヴには見るものがある。特に“グラヴィティーズ・レインボー”はやっぱり圧倒的。

とはいうものの、今日の演奏がだいぶひどかったのも事実だ。次に観るときは、もう少し安定感のある演奏を観ることができたらと思う。(古川琢也)
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

フォローする
音楽WEBメディア rockin’on.com
邦楽誌 ROCKIN’ON JAPAN
洋楽誌 rockin’on