実に9年ぶりのアルバム『SOMA』を引っさげて全国を巡ってきたHUSKING BEE。そのエクストラショーとしてブッキングされたこの夜の渋谷クラブクアトロ公演は、直前に“どんどん”こと平林一哉が戦線離脱せざるを得ず、急遽、残りのメンバー3人で挑むこととなった。手負いのハスキンを激励するように、オープニングからアグレッシブな熱演を見せたのはゲストアクトのNOSHOW! そう、BACK DROP BOMBの白川貴善、ASPARAGUSのナオウ(原直央)とシノッピ(渡邊忍)、そして片山豊(SLIME BALL、FINE LINES、ex.THUMB)から成るプロジェクトで、始動13年にして総ライブ本数が20本に満たないという、その存在がほとんど都市伝説化していたスーパー・バンドだ。片山を新ドラマーに迎えた新体制ではまた2度目のステージながら、「Can't Say」「She's My Ex」など敬愛するALLの疾走感溢れるカバーで客席を沸かせ、「リーダー(ナオウ)が作った新曲……今日初出しの新曲やってもいいッスか!?」とシノッピが呼びかけてニューソングも披露! SHORT CIRCUIT時代から変わらぬナオウのメロディメイカーっぷりが存分に発揮されたナンバーにフロアも即座に沸騰。吠えるような白川の力強いボーカル、どこまでもメロディアスかつシャープなシノッピのギター、片山とナオウの歯切れ良いグルーブと、それぞれにキャリア豊富なメンバーとあって安定感/躍動感ともにバツグン。およそサイドプロジェクトらしからぬ卓抜したアクトを繰り広げて主役にバトンを継いだNOSHOWだった。「こうやって新曲も作ってるってことは……期待しててください!」(シノッピ)とのMCもあったので、今後のコンスタントな活動に期待!
中盤に差し掛かったあたりで「やっと変な緊張が取れたな(笑)」とイッソンが本音を漏らしていたとおり、やはりプレッシャーはあったようだが、徐々に3人のヴァイブスもフランクなものとなり、「(山崎と岸野に向かって)君ら2人はすぐ黙ってラーメン食いに行くよね? 帰って来たらニンニクの臭いがして、これは行ったなと(笑)」(イッソン)と今回のツアーを振り返ったり、大きな体躯に似合わずボソボソと小声で話す岸野に、「あのね、俺の2倍くらいあるんだから!(怒)」(イッソン)と公開ダメ出しする場面も(笑)。後半は「じゃあ、ここでキーボード、シモリョー(the chef cooks me)よろしくお願いします!」(イッソン)と『SOMA』のレコーディングにも参加した盟友を呼び込んで4人編成でプレイ。温かなオルガンの音色と共に「暖願コントロール」を高らかに奏で(イッソン vs バンドによる力強い掛け合いも!)、続けて即興の「Hey Jude」から「The Sun And The Moon」へと繋ぎ、青春がまさに絶頂を迎えたような無上の昂揚感に、フロアには無数のコブシが突き上がった。