「GANBAN-NIGHT SPECIAL」として行われた今回の公演。昨夏のフジ・ロックでのパフォーマンスも記憶に新しいジャスティスと、彼らの所属するレーベルのオーナーであり、ダフト・パンクのマネージャーでもあるBUSY Pことペドロ・ウィンターのカップリングでの来日だ。
ジャスティスが面白いのは、音自体はノイジーではあるがじつはすごくよくできたテクノにすぎず、プレイスタイルもベーシックなものなのだが、にもかかわらず、そこから立ち昇ってくるヴァイブ、ノリが完全に「ロック」のものであるというところだ。たとえば1時間のセットを組み立てるときに、ふつうなら10分かけて最初のピークにもっていくところを、ジャスティスは1分半でやってしまう。無駄なシーケンスは極力はぶき、本当に気持ちいいところだけをダイレクトにぶつけてくるのだ。だから、ジャスティスのライヴでゆったりチルアウトしている暇などない。テクノなのに、まるでパンク・ロックでも観ているようなのだ。
ライヴのハイライトは終盤に披露された“We Are Your Friends”。シミアン・モバイル・ディスコの前身バンド=シミアンの“Never Be Alone”という楽曲を、ジャスティスがリミックスしてヒットさせたアンセムだ。「だって僕たちは君の友達、君はひとりじゃないよ〜」というサビのフレーズを、延々リピートするというだけの曲である。そしてそのサビを、フロアにぎゅうぎゅうに詰まったオーディエンスが、大声で合唱するのである。ジャスティスの音楽がもつ快楽の原理が、この曲に象徴されているような気がする。
ジャスティスというバンド名も、十字架のモチーフも、ステージに18個も積まれたマーシャルのアンプも、すべてメタリカに由来しているのだろう。そう考えると、彼らのダンス・ミュージックがなぜこんなふうになったのかが理解できる気もするが、とにかく、いまもっともロックを感じるダンス・ミュージックを、デカいステージで満喫させてもらった。(小川智宏)
ジャスティス @ 新木場スタジオコースト
2008.01.24