カニエ・ウェストはアフリカ系アメリカ人向けのテレビ局BETが際立った功績を示したアフリカ系の人物を表彰する今年のBET栄誉賞で、革新性と先見性を評価するヴィジョナリー賞を受賞した。
授賞式は実際には先月行われたが、先頃テレビでその模様が放送され、受賞スピーチでカニエは妻のキム・カーダシアンという黒人ではない人物との結婚について触れ、キムがこれまで「すっからかんの黒人」との交際歴もあることから少なくとも自分との結婚は金目当てではないと話して会場の笑いを誘った様子が紹介された。さらにカニエはキムの父で元NFL選手のO・J・シンプソンを無罪に導いた辣腕弁護士ロバート・カーダシアンとキムの次のようなエピソードを紹介した。
「キムの話ではキムの父親のロバートが外に出て行ったところ、自分のベントレーの車体に、『ニガー好き』と落書きされてあったというんだね。というのはロバート・カーダシアンはO・Jを無罪に導いた弁護団を組んだ天才的な人物だったからね。キムはそれまで自分の父親が悪態をつくところも、怒ったところも見たことがなかったというんだ。どこまでも落ち着いた人物だったというんだね。その父親が狂ったようになって、この落書きした人物たちの行方をその場で捜し回ったっていうんだ。キムはそこで立ち尽くして泣きながら『パパ、なんでそんなに狂ったように怒ってるの?』って訊いたらしいんだけど、父親はこう言ったそうなんだよ。『ある日、おまえが黒人の子供を授かるような日が来ることもあるかもしれない。とてもかわいくて、目に入れても痛くないような黒人の子供をね。でも、そうなったら本当に困難だらけになるんだ。どれだけ大変なことかを身をもって知らされることになるよ』ってね」
また、昨年のファーガソン事件を踏まえて、差別の問題についても触れ、人類全体を見渡すような巨視的な視点を持たないとどうにもならないと次のようにも語った。
「さまざまな人種にこだわって捉えることはミクロであって、それに対して人類全体というマクロの見方があるんだよね。でも、去年みんなが好んで共感したがった物言いっていうのは、論点がすり替えられるか誤解に基づいたものだったんだけど、次のような考え方から逸脱しちゃったものでもあるんだよね。『そうだ、自分が力を与えられてないのは自分の人種のせいだ、人々のセレブリティという考え方のせいだ、若い黒人の男性に焚きつけられている成功のイメージはスポーツで成功するかラッパーで成功するかというものだけだ、でも、なにかを所有することが重要なんだって誰も教えられていない』っていう。で、そのおかげで、こういう真実や真理をついた考え方までまるで突拍子もない、頭のいかれた考え方であるかのように片付けられてしまうんだよ」
さらにカニエは現代人は「自分がイケてるかどうか」という観念に支配された現代の奴隷となっていると指摘。自分が手にした富は自分の表現や影響力として使わなくてはならないと訴え、そうやって影響力を行使する時は自分たち黒人のためだけでなく、人類全体のことを考えないとだめだと説いた。
