【コラム】BUMP OF CHICKEN、NHK『SONGS』初出演! 藤原基央、「うた」への想いを語る

【コラム】BUMP OF CHICKEN、NHK『SONGS』初出演! 藤原基央、「うた」への想いを語る

「生きることとか、死ぬこととか、笑うこととか、泣くこととか、お腹が減ったとか、そんなことばかり歌ってるんですけど。知っている気持ちと、経験したことしか書けないと思います」――自身の歌詞について、藤原基央はそんなシンプルな言葉で説明していたが、番組冒頭から「最初のヒット曲 テレビ初披露」のテロップとともに披露された“天体観測”のスタジオライヴ映像が、その「知っている気持ち」と「経験したこと」を無上のロックナンバーに変える才能の大きさをはっきりと物語っていた。胸が震えた。

12月5日深夜に放送された、BUMP OF CHICKEN出演の音楽番組『SONGS』(NHK総合)。「大人の心を震わせる音楽番組」という番組コンセプトに則って、ライヴ映像やメンバーのインタヴュー風景を交えながら、30分という短い尺の中でバンドの歩みを静かに追っていく。映画などのタイアップ曲を通して数々のクリエイターとコラボしてきた側面を伝える“花の名”。初音ミクとのコラボなど近年の音楽的トライアルを象徴する“ray”4人バージョン。番組中のインタヴューでは「スポーツとかあんまりできないし、悪いこともしないけど、モテたいなって」と中学生だった升秀夫が藤原の胸倉を掴んで「俺と一緒にロックを変えようぜ」と迫った、という結成当時のエピソードを明かしていた。

そして――16歳の頃、BUMP OF CHICKENの可能性を確信した「バンドの原点」として演奏されたのが、“ガラスのブルース”だった。初の日本語詞に挑んだ藤原が「本当にちょっとずつ、ちょっとずつ作っていって。1日1フレーズずつとか書いていって……結構時間かけて作ったんですけど」と振り返っていたこの曲。オーディエンスの大歓声も熱狂も聞こえない、バンドのみのスタジオライヴという形で丹念に楽曲を響かせていくその佇まいからは、何の武器も武装も持たず、ただひたすらにメロディを磨きフレーズを研ぎ澄ませてきた当時のメンバーの想いと、現在に至るまで揺るぎなく一貫した4人の姿勢がくっきりと浮かび上がってきた。

「詞に関しては、時間かかるんですよね。その時に本当に自分が言いたいことって何かな?って考えたりするんですけど……ひとりの人間が『心から言いたいこと』なんて、突き詰めるところまで突き詰めてしまったら、そんなに種類はなかったりして」と語りつつも、藤原は「でもやっぱり、ずっと歌ってますよね。なんかこう……伝えたいんでしょうね、ずっと歌ってるんですもんね」と自身の「うた」への想いを告白していた。その「原点」と「今」をリアルに綴った映像から、結成20周年のニューアルバム/20周年記念ライヴ/初スタジアムツアーという壮大な「その先」へ向けて充実した4人の表情が伝わってくる、最高のひとときだった。(高橋智樹)
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