米津玄師、感動のツアーフィナーレ!驚異の成長を見せた堂々の追加公演をレポート!

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2016年2月11日、12日の2日間、米津玄師の全国ツアー「2016 TOUR / 音楽隊」の追加公演が豊洲PITにて開催された。RO69では、この2日目・2016年2月12日の模様をライヴ写真とレポートでお届けする。

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1月9日のZepp DiverCity公演から始まった「米津玄師 TOUR2016/音楽隊」を締め括る、追加公演の東京・豊洲PIT2デイズ。初日の模様については、現在発売中のROCKIN’ ON JAPAN3月号誌面でレポートしたのだが、米津玄師はツアー中に驚異的な成長を経て、最終日にアルバム『Bremen』、そしてツアー「音楽隊」に込めた思いを完璧に描き切った。

幻想的な影絵のオープニングののち、お馴染みのサポートメンバーである須藤優(B・Key)、堀正輝(Dr)、中島宏(G・Key)を伴って、米津玄師は広大なフロアに詰めかけたオーディエンスの歓声を浴びる。歌詞がくっきりと浮かび上がる歌声で、このスケール感の会場に染み渡る1曲目は“ウィルオウィスプ”だ。「ようこそ、音楽隊へ!!」と声を上げると、エレクトロバンドのフォーメーションで強い推進力を育む“アンビリーバーズ”へ。この導入部2曲で「仲間たちと高速道路の上を歩き出す」、そんな『Bremen』の情景にオーディエンスを巻き込んで行った。

瑞々しくファンキーな演奏の中で米津のヴォーカルが弾ける“フローライト”では、「ラララ……」とオーディエンスの合唱も寄り添って美しい。思い悩みながら歩を進め、別れに至っては再会を願う、そんな道のりがしっかりと共有されてゆく手応えが確かにある。“雨の街路に夜光蟲”における、目に柔らかな光量で背景に模様を描いてゆく照明演出も、気負うことなくプライベートな思いを解きほぐしてゆく米津の表現とシンクロするようだ。本編の中盤、ミドルテンポでじっくりと歌心を伝えてゆく“メトロノーム”や“アイネクライネ”は、彼の成長あればこそ、という名演になった。

「あらためまして、米津玄師です。追加公演2日目……実質これでラストなんですよね」と、ここでバンドメンバーを紹介してゆく。中島にMCを要求する恒例のコーナーだが、ツアー中に各地でご当地ネタを披露してきたという中島は「東京ばな奈の正式名称って知ってる? 東京ばな奈〈見ぃつけたっ〉って言うんだよ。(米津の)生年月日が…1991年生まれでしょ。東京ばな奈も1991年生まれなんだよ。見ぃつけたっ、って感じだよね!」と語り、喝采を浴びる。そして米津は、実は昨年までこの豊洲・晴海エリアに住んでおり、『Bremen』の中で歌った街のイメージに近辺の風景を重ねていたことを明かして、オーディエンスをどよめかせた。

「じゃあ、これから速い曲やるんだけど、みんなついて来れんのかなあ!?」と煽り立てて繰り出されるのは、“ゴーゴー幽霊船”や“パンダヒーロー”といった、往年のストレンジな爆走ナンバーだ。人肌のエレクトロアレンジに感情を滲ませる“Undercover”や、強がるような思いをロックのアタック感で伝える“Neon Sign”も素晴らしく、間髪入れずに繰り出される“ドーナツホール”では、猫のネオンサインを背負って楽々とフロアを沸騰させてしまった。

そして、「個人的な曲なんだよね。アルバムに入れるか、最後まで迷ってて。でも、それが自分だし。いい曲だし」と告げて届けられたのは、“ホープランド”である。この曲にはまさに、当時住んでいた豊洲・晴海エリアの風景が込められたという。でも、《ソングフォーユー 憶えている?/僕らは初めましてじゃない/同じものを持って/遠く繋がってる》と締め括られるこの曲は、『Bremen』のメッセージ性をよりリアルで、深みのあるものにしていると思う。

自らアコギを抱えた“Blue Jasmine”で本編を締め括ると、アンコールの催促に応えて、ファンが寄せ書きした巨大な横断幕をバンドメンバーと共に携えて再登場。「みんな書いてくれたの? よくできたファンだこと!」と喜びつつ、何度でも戸惑いと決意を確認するように“Flowerwall”を披露する。そして米津は、『Bremen』と「音楽隊」に込めた思いについて、あらためて説明し始めた。

童話『ブレーメンの音楽隊』の結末に驚きながらも、これは美しい物語なんじゃないかと思ったこと。どうなるか分からない未来に向かっているのは誰もが同じで、身の丈にあった幸せを見つけることが大切なんじゃないかということ。自分の音楽を心待ちにしてくれている人に、何ができるかと考えたこと。「みんなを、ブレーメンじゃなくても、見たことねえようなところに連れて行きたかった。その先で、それぞれに足りなかったもの、ぴったりとはまる、補完されるようなものが、見つかればいいなあって」「みんなに触発されて、俺自身も変わっていく。そうして、美しい場所に向かっていくことができたらいいなあと思います。今日は本当に、ありがとうございました」。

ライヴのエンドロールのように、最後に披露されるのは“こころにくだもの”だ。この、童謡のように普遍的で、温かな生活感に満ちた一曲は、ささやかな幸福を象徴するものなのかも知れない。けれどもその色とりどりの幸福は、旅に出なければ気付けなかったものだ。米津玄師はきっとまた、我々を新たな旅に誘うのだろう。(小池宏和)

●セットリスト

01. ウィルオウィスプ
02. アンビリーバーズ
03. 再上映
04. フローライト
05. ミラージュソング
06. 雨の街路に夜光蟲
07. メトロノーム
08. アイネクライネ
09. ゴーゴー幽霊船
10. パンダヒーロー
11. Undercover
12. Neon Sign
13. ドーナツホール
14. ホープランド
15. Blue Jasmine
(encore)
16. Flowerwall
17. こころにくだもの

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