【コラム】syrup16g、3枚組映像+ブックレットのボックス『再発患者』について

【コラム】syrup16g、3枚組映像+ブックレットのボックス『再発患者』について - 『再発患者』 発売中『再発患者』 発売中

「再発」後のsyrup16gを封じ込めたボックス作品、リリースの意味は
syrup16gのボックス『再発患者』が6月27日にリリースされた。
2014年9月22日東京・国際フォーラムホールAのライブを収録した『再発』、2015年7月9日東京・NHKホールの『患者』、同年11月3日のthe telephones『Last Party ~We are DISCO!!!~』出演時の『2015.11.3 さいたまスーパーアリーナ』の3枚のディスク、プラス、ライブ写真を掲載した60ページのフォトブックも入っている。
2013年5月8日に、五十嵐隆名義で行われたライブに中畑大樹とキタダマキが参加、実質的に再始動して以降、毎年この時期にsyrup16gはなんらかのアクションを起こしてきたが、今年2016年の活動として発表されているのは、このボックスのリリースと、2016年7月19日(火)~7月20日(水)に新木場スタジオコーストのスピッツのイベント「新木場サンセット」への出演だけ。

要は「今年はこれでがまんしてね」ってことだと受け取ってよいと思います、このボックスのリリースは。
まあ、「がまんしてね」って言われてがまんできるか? というと、全然できるし。再始動後、2014年に『Hurts』、2015年に『Kranke』と、2年続けて新しい作品が出た、しかもどっちもすばらしいものだった時点で、「これ順調すぎないか? シロップなのに」と、怖い気すらしていたので。
ファンの多くも、僕と同じような気持ちだと思う。ことシロップに関しては、「毎年ツアーやってよ!」とか「毎年リリースしてよ!」とか「フェスとかも出てよ!」という人はいないだろう、少なくとも解散前からのファンならば。


解散しても、引退状態でも、「鋭くなり続けていた」シロップ
にしても。復活後の“生きているよりマシさ”や、初期の“生活”や、いちばんバリバリ活動していた頃の“ex.人間”や、これを最後に解散した『syrup16g』収録の“HELPLESS”など、聴いていてハッとする鋭利な言葉がのった曲だらけだなあ、と、観ていると改めて思う。
つまり、いつの時期でも、いつの時代の歌でも、あるいはいつの時代に聴いても、シロップの歌ってそういうものだ、ということだ。
どのあたりがもっともハッとするかは、自分がこのバンドを聴く・観る時期やコンディションによって異なるが、今これを観ていていちばん刺さったのは、『再発』にも『患者』にも入っている“Stop brain”の《Stop brain/思考停止が唯一の希望》というラインでした。
『Hurt』でこの曲を初めて聴いたとき、「うわ、長いこと引退状態だったのに変わっていないどころかさらに鋭くなってる」と、びっくりしたことを思い出す。

あと、3枚目のディスク、昨年11月3日、the telephonesの活動休止イベント@さいたまスーパーアリーナ出演時の7曲の最後に、五十嵐がthe telephonesへの言葉を贈ってから“Reborn”をやるとこ、やっぱり、グッときます。(兵庫慎司)
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