【完全レポ】藍井エイル、万感のラストライブ――「5年間、支えてくれてありがとう」

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藍井エイルが11月4日・5日に武道館公演「Eir Aoi 5th Anniversary Special Live 2016 ~LAST BLUE~ at 日本武道館」を開催した。RO69では、5日の模様をロングレポートでお届けする。

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●セットリスト
1.シリウス
2.AURORA
3.コバルト・スカイ
4.アヴァロン・ブルー
5.GENESIS
6.アカツキ(新曲)
7.クロイウタ
8.KASUMI
9.Lament
10.MEMORIA
11.HaNaZaKaRi
12.アクセンティア
13.レイニーデイ(新曲)
14.シューゲイザー
15.シンシアの光
16.ラピスラズリ
17.IGNITE
18.Bright Future
19.サンビカ
20.翼
21.INNOCENCE
(アンコール)
22.frozen eyez
23.ツナガルオモイ
24.虹の音

8月から体調不良による当面の間活動休止することを発表、その後11月4日・5日の武道館ワンマン公演を最後に無期限の活動休止に入ることを発表した藍井エイル。当初は彼女のデビュー5周年を華やかに祝う場だったはずの「Eir Aoi 5th Anniversary Special Live 2016 ~LAST BLUE~ at 日本武道館」は、現時点において、彼女の歌を直接耳にすることのできる最後の場になってしまった。以下では2デイズの2日目、11月5日公演の模様をレポートしていきたい。

場内全体が青い光に包まれる中、土屋浩一(G)、新井弘毅(G)、黒須克彦(B)、楠瀬タクヤ(Dr)、重永亮介(Key)、篤志(DJ)と、サポートプレイヤー/楽曲提供者として藍井エイルを支え続けてきたメンバーによるサポートバンドがスタンバイ。その後、エイルが登場。ステージ中央へ歩みを進め、左手を高く掲げると、スポットライトの光が彼女の元へ集まった。「ただいま、武道館!」と挨拶して、1曲目の“シリウス”、続けて“AURORA”へ。閃光のような彼女の歌声が武道館を大胆に貫き、会場を完全掌握していくまではあっという間。「今日は全員で最高の時間を作っていきましょう、よろしく!」と投げかける彼女は感傷的なムードなど一切纏っていないが、サイリウムを振るオーディエンスの手には一層力がこもっているように見える。

そこからの流れは怒涛だった。メジャーデビュー記念日=10月19日にリリースされたベストアルバム『BEST -E-』『BEST -A-』収録曲のうち21曲を披露した本編は、一度だけ短いMCがあったものの、ほぼノンストップで繰り広げられる。今回の武道館2デイズを迎えるにあたって、オフィシャルサイトでは「(前略)日本武道館では皆様に育ててもらった大切な楽曲たちを、感謝の気持ちとともにお届けしたいと思っています。」というコメントが掲載されていたが、休む間もなく歌声を届け続ける姿には「歌を通してみんなと繋がれたなら、感謝の想いは歌で返さなければ」という彼女がずっと大切にしてきた信念が表れていた。そんな中、折り返し地点の10曲目に演奏されたのはデビュー曲“MEMORIA”。≪どんなに離れても忘れることはない/君が私に光を教えてくれた≫≪溢れ出す気持ちを教えてくれたから/この世界がなくなっても私はそこにいる≫――5年前に産み落とされたフレーズの数々が、今この場所で生まれていく情景と重なり合っていく。まるでその目に焼きつけるように客席をじっと見つめるエイルの表情がモニターに大映しになるたびに、どうしようもなく胸が締めつけられた。

“HaNaZaKaRi”からは一気に加速。「もっと声をここまで届けてくれますか? みんなで歌おうぜ、武道館!」とエイルは客席からの歌声を何度も求め、オーディエンスもまたそれに応えていった。ライブが終盤に近づくほど彼女の歌声のエネルギーも会場全体のボルテージも増していくばかり。健闘を讃えるように客席目がけて拳を突き出しながら、彼女はカラッと笑ったのだった。特大のシンガロングが起こった“Bright Future”、「ずっとずっと全身全霊込めて歌ってますけど、最後まで全力で歌を届けていこうと思いますので、みなさんも全力で楽しんでってください!」と改めて伝えたあとの最新シングル表題曲“翼”、そして“INNOCENCE”で本編終了。

みんな一緒に楽しむことを優先していく様子は普段のライブと変わりなく、それがあまりに潔かったため、彼女がこのままいなくなってしまうことがにわかに信じられなかった。だからある意味、この温度感のままライブを終えれば綺麗にまとまったかもしれないが、それでも彼女は自分の言葉で伝えるべきことを伝えることを選んだ。

アンコール。客席からの声援に応えてひとりで登場すると、まず「たくさんの心配とご迷惑をおかけしてしまって本当にごめんなさい。そして、待っててくれて本当にありがとうございます」と、長いお辞儀。デビュー当時は口元を隠したアーティスト写真だったこと、「ライブがしたい」という理由で2ndシングル『AURORA』では早くも顔出しを解禁したこと、ツアーの行く先々でいろいろな人に会うことができたのが嬉しかったのだということ、昨年初めて武道館ワンマンを行ったこと、そして今年は武道館が返ってこられるような場所になったこと――そんなエピソードを通して濃密な5年間を振り返った彼女は、この2日間のテーマが「みんなで築き上げた5年間の軌跡」であるのだと語っていた。

「私を見つけてくれてありがとう。私と出会ってくれてありがとう。私の楽曲を愛してくれてありがとう。いつも元気な言葉をかけてくれてありがとう。素敵な笑顔を見せてくれてありがとう。いつもこの小さな背中を押してくれてありがとう。大切な時間を一緒に作ってくれてありがとう。かけがえのない思い出をいっぱいくれてありがとう。これ以上ないくらいの幸せな時間をいっぱいくれてありがとう。本当に本当に、5年間、支えてくれてありがとうございました」

不器用さを隠さず、堪えることもなく涙を溢れさせながら、彼女が最後に伝えたのはありったけの感謝であり、ラストシーンで歌に乗せて届けたのも≪ありがとう≫という言葉だった。七色の照明&サイリウムと紙吹雪が場内を彩る中、バンドサウンドが鳴り止むのを待たずにステージを後にした時の泣きながら笑うような表情。私たちはその美しさを、きっとずっと忘れることができないと思う。「明日からも思いっきり笑っていこうぜ!どんなに離れてたって私たちはいつだって繋がってるぞ!」と彼女が叫んでいた通り、聴き手側が気持ちを絶やさない限り彼女の歌が鳴り止むことはないが、だからこそ「いつの日か」を信じて待っていたい。彼女がまた「ただいま!」と笑えるその時まで。(蜂須賀ちなみ)
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