(毎日レビュー4日目)
M10 S.E.V.E.N 転び E.I.G.H.T 起きM11 NOROSHI
M12 青春のすべて
レビュー4日目、全盤種共通で収録される12曲のラストはこの3曲。エイトにちなんで「七転び八起き」をしれっと“S.E.V.E.N 転び E.I.G.H.T 起き”のフレーズに昇華してみせる、作詞作曲:ユニコーンの遊び心はさすがだが、もっとさすがなのは楽曲における関ジャニ∞のユニコーンとのハモり方だ。《あーそのー/あそこのー》というAメロからでもユニコーン作とわかるポップ記名性の高いロックナンバーをパワフルに歌で乗りこなす躍動感。ロックバンド=ユニコーンの核でもある8ビートと《エイトのビートで/走り出せー》の歌詞が渾然一体となって、やがて流れ込む《転んでも起きる/凹んでも凸る/七転八倒/七転び八起き》の熱唱――噛めば噛むほど感激が湧き出してくるような1曲だ。そこから既発シングル曲“NOROSHI”へ。ジャズファンク〜フュージョン的なイントロから一気にグラマラスなロックの熱量のど真ん中へと駆け出していくスリルも、《行くべき道は そう、/君の踏み出した先にある》のパンチラインを力強く突き上げる瞬間のアンセミックな高揚感も痛快そのもの。そして最後、珠玉のバラード“青春のすべて”の作詞作曲を手掛けたのは、『関ジャム 完全燃SHOW』の名講師ぶりでも好評を博した水野良樹(いきものがかり)。恋の終わりと切ない別れを雄大なアンサンブルとメロディに託した曲だが、《やんちゃな夢に はしゃぐばかりで じゃれあうように青春を生きてたね》というフレーズは、青春時代を俯瞰するエイトの「今」の大人な視線を感じさせる。何より、《君に出会えてよかった 僕は明日を生きている/僕らが見たのは 青春のすべて 忘れはしないよ 季節は変わっても》というフレーズは、いきものがかりと同年代(水野と村上信五が同じ82年生まれ)であり、同じく00年代前半にCDデビューを果たし、スタイルこそ異なれどともに国民的アーティストとして大舞台で闘い続ける関ジャニ∞へ向けた、水野からの渾身のエールのようにも聴こえてくる。数多の「ジャム」を通した実験性と冒険精神があふれ返る今作を、スケールの大きな王道ポップ感へと着地させる、最高のエンディングだ。(高橋智樹)