以前、明石家さんまによる31年ぶりのNHK番組出演&歌番組司会担当が大きな注目を集めた、2016年11月の『第1回明石家紅白!』。
その第2回が、2017年6月26日にオンエアされた。さんまにイジられ、魅力を引き出される今回の出演者たちは、宇崎竜童&阿木燿子、三浦祐太朗、三浦大知、ゆず、Dream Ami、森高千里という顔ぶれ。4時間にも及んだ収録が、73分の放送に編集されたという。
さっそく度肝を抜かれたのは、宇崎竜童&阿木燿子夫妻とのトークだ。大スター・山口百恵のヒット曲の数々を手がけた作詞・作曲家コンビとしても有名なふたりだが、『NHK紅白歌合戦』など同局番組出演時の山口百恵の歌唱シーンが次々に畳み掛けられて圧巻な上、一晩で制作することを求められた“プレイバックPart2”について阿木燿子は「だんだん腹が立ってきて、《馬鹿にしないでよ》のフレーズが出来た」と裏話を披露する。
そこに、三浦友和・山口百恵の長男であるシンガーソングライター・三浦祐太朗も加わり、宇崎のソリッドなギタープレイと共に“プレイバックPart2”を歌うという世代を超えたコラボを敢行。「和気あいあいとしたムードの中で、とんでもないことをやる」という『明石家紅白』が序盤から全開だ。
Folderの一員としてデビューしてから今年で20周年を迎える三浦大知は、アカペラ歌唱とキレッキレのダンスから切り出される“Cry & Fight”を披露した後、かつてさんまが演じた悪役キャラクター=パーデンネンのネタをダンスアレンジしてレクチャー。また、こちらも20周年を迎えているゆずは「俺が聴きたい曲を歌ってもらうよ。そういう番組やねん」(さんま)、「とても新曲歌える雰囲気じゃないですね」(北川悠仁)という絡みを経て、“栄光の架橋”の熱演を「新曲出ます!」とフィニッシュしてみせる。出演者も観覧者も総出で盛り上がる“夏色”では、またもやパーデンネンとのコラボが行われていた。
“夏色”の歌詞について、さんまは「ここいらんねん」と意見(《ブレーキいっぱい握りしめて》の部分は不要で、《ゆっくりゆっくり下ってく》の行間に意味を感じたいということらしいのだが、三浦大知や宇崎竜童の賛同は得られなかった)したり、ソロ活動専念の道へと踏み出したDream Amiが自ら歌詞を手がけたシングル“はやく逢いたい”では、《ねぇ、好き?って聞いたら/ため息つきながら/ちゃんと答えてくれる あなたが好き》という箇所に注目して「これ、大阪の人間やねん」と分析してみせたりといったふうに、さんま独自の視点で抉るポップソング批評がまた面白い。目下ギターを学んでいる最中というAmiの練習曲“サヨナラバス”に、本家ゆずや三浦大知もわちゃわちゃと参加する一幕もあった。
さんまが「好きすぎて、同じジムに入ったの、ご存知ですか」と身を乗り出す森高千里(歌手デビュー30周年!)に対しては、さんまが主演したドラマ『恋も2度目なら』の主題歌“二人は恋人”や“渡良瀬橋”のパフォーマンスに満足そうに浸る一方、もはやモノマネというよりもさんまオリジナルのネタとして殿堂入りレベルの“気分爽快”も披露。久々に見たけど相変わらずノリノリで笑った。ネタが豊富すぎる。
そして番組を締めくくるのは再びの宇崎竜童。ダウン・タウン・ブギウギ・バンドの大ヒット“港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ”が弾き語り披露される。尖りまくったパフォーマンスがめちゃくちゃカッコよく、この曲で作詞家デビューした阿木燿子も「無事に終わったから!」と身悶えしていたのが微笑ましかったが、78万枚のセールスを記録したこの曲はトーキンブルース風のセリフ部分が多いために「僕、2小節しかメロディ書いてない。でも1曲分の印税もらってる(笑)」という宇崎の告白が目からウロコである。最高にパンクなエピソードだ。
かくして優勝は白組に決定し、「理由は特にありません。一勝一敗にしとこか」と番組が締め括られる。笑いと驚きの嵐が過ぎ去ったような安堵感を抱いたのは、きっと僕だけではないだろう。やはり、めちゃくちゃ濃い音楽番組である。今から次回放送が楽しみだ。(小池宏和)
『第2回明石家紅白!』宇崎竜童×阿木燿子×三浦祐太朗の世代を超えた共演を観た
2017.06.28 12:30