インタビューでのんは、声優で主演という初めての経験、そして公開後の反響や観客の感動の輪が広がった現象への思いについて、公開から約9ヶ月の時間を経た今、改めて振り返っている。
「もう『すずさんは私しかいない!』みたいな感じで、監督に猛烈にアピールして(笑)。その時は声だけの演技っていうのを度外視して、すずさんをやりたいんだっていう気持ちで突っ走っていました。で、アフレコが始まって、『やっぱり声だけで表現するって難しいなあ』って」
「すずさんを自分に近い存在として(原作を)読み進めていくことができたので、原爆が落ちてくることも、次元の違うところで起きてることではなくて、リアルに感じることができたんです。すずさんに寄り添って恐怖を感じることができて、それがとても新鮮でした」
「この作品に関わるまでは、食べることに無頓着で。でも、すずさんを演じて、ちゃんと料理をして食べるっていうのが素敵なことだな、楽しいことだなって思えたので、そういう意味でもまた違った表現が自分の中で生まれる気がしてます」
のん自身、「役者をやっていく中でもう一度あるか、ないんじゃないか」というほど、その出会いが特別だったと語る映画『この世界の片隅に』。すずという役を通じて広がった表現の幅についても迫る、貴重なインタビューだ。
誌面ではインタビューに続いて、この映画が私たちに残したものについて解説するコラムも掲載。こちらも併せて、『この世界の片隅に』の感動をもう一度振り返ってほしい。