【追悼トム・ペティ】マッドクラッチから遺作となった『ヒプノティック・アイ』までを振り返る

【追悼トム・ペティ】マッドクラッチから遺作となった『ヒプノティック・アイ』までを振り返る - トム・ペティ公式ツイッター(@tompetty)よりトム・ペティ公式ツイッター(@tompetty)より

現地時間10月2日、トム・ペティが66歳で亡くなった。

詳しい死因は現在調査中(本記事執筆時点)のようだが、トム・ペティは10月1日の夜に心臓発作を起こし病院へ運ばれた後、翌2日の夜20時40分に「家族やバンド仲間、友人らに囲まれて」穏やかに息を引き取ったという。

トムは1950年にフロリダ州ゲインズビルで生まれ育ち、エルヴィス・プレスリーザ・ビートルズザ・ローリング・ストーンズらに憧れてミュージシャンを目指し、地元で結成していたサザン・ロック系バンド、マッドクラッチが人気を呼ぶことになった。しかし、シングル1枚のみのリリースにとどまり、1975年に解散。トムはソロとして活動を開始することになるが、マッドクラッチの仲間だったベンモント・テンチとマイク・キャンベルがザ・ハートブレイカーズを結成するとすぐにコラボレーションが始まり、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズとして活動することになった。

Tom Petty & The Heartbreakers - American Girl

1976年に1stアルバム『アメリカン・ガール』をリリースするとアメリカよりもまずはイギリスで大きな人気を博し、"Anything That’s Rock'N’Roll"、"Breakdown"、"American Girl"などのシングルでヒットを記録。その後イギリスでの人気からアメリカでも注目されるようになり、1978年のセカンド『ユア・ゴナ・ゲット・イット!』ではアメリカでのヒットを手中にし、"I Need to Know"、"Listen to Her Heart"などのシングル・ヒットを飛ばした。

そして1979年の『破壊』はアルバム・チャート2位を7週連続で記録するという大ヒットとなり、"Don’t Do Me Like That"、"Here Comes My Girl"、"Refugee"などのヒット曲を輩出し、一躍アメリカを代表するロック・バンドのひとつとして定評を得ることになった。

Tom Petty And The Heartbreakers - Here Comes My Girl

その後も1981年の『ハード・プロミス』、1982年の『ロング・アフター・ダーク』などと活躍を続ける一方、バンドとしての演奏力とライブ・パフォーマンスも高く評価されるようになる。80年代中盤にはボブ・ディランに声をかけられバック・バンドを務めることになり、ボブのトゥルー・コンフェッションズ・ツアーに参加し、1986年3月にはこのツアーでの来日も果たすことになった。

また、1988年にはジョージ・ハリスンが仕掛けたスーパーグループで、ボブ・ディラン、ロイ・オービソン、ジェフ・リンも加わっていたザ・トラヴェリング・ウィルベリーズに参加し、『トラヴェリング・ウィルベリーズ Vol.1』をリリースして大きな話題を集めることになった。

『トラヴェリング・ウィルベリーズ Vol.1』に続く『トラヴェリング・ウィルベリーズ Vol.2』はロイ・オービソンの急死などにより幻のアルバムとなってしまったものの、ウィルベリーズにとって実質的な2作目となる『トラヴェリング・ウィルベリーズ Vol.3』はその後1990年にリリースされている。

Traveling Wilburys - End Of The Line

トムはこの間にソロ・アルバムにも乗り出し、1989年に『フル・ムーン・フィーヴァー』をリリースし、"Free Fallin’"、"I Won’t Back Down"、"Runnin’ Down a Dream"などのヒット・シングルに恵まれることになった。ただ、ソロとはいえ、ハートブレイカーズのメンバーも参加している一方、その他にはジェフ・リンやロイ・オービソン、ジム・ケルトナーなどウィルベリーズ繋がりの人脈も参加したサイド・プロジェクトだった。その後、1991年にはザ・ハートブレイカーズとの活動に再び復帰した。

2000年代に入ってからもソロとザ・ハートブレイカーズの両面での活動を精力的に続け、ボナルー・フェスティバルへのヘッドライナー出演やスーパーボウルのハーフタイム・ショーへの出演など、話題にも事欠かなかった。2007年にはハートブレイカーズの前身バンドとなったマッドクラッチを再結成させ、アルバムもリリースした。最新作はマッドクラッチの2016年の2ndアルバム『2』で、ザ・ハートブレイカーズとしては、バンド初のチャート1位アルバムとなった2014年の『ヒプノティック・アイ』が最後の作品となった。


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