【来日迫る】フォスター・ザ・ピープルの「ポップ」革命児としての進化を辿るマーク・フォスター語録

【来日迫る】フォスター・ザ・ピープルの「ポップ」革命児としての進化を辿るマーク・フォスター語録

今年7月にリリースした新作『セイクレッド・ハーツ・クラブ』を引っ提げ、来年1月に単独ツアーとしては6年ぶりとなる来日公演を行うフォスター・ザ・ピープル

ここでは1月に迫る来日を祝し、過去の『ロッキング・オン』のインタビューからフロントマンのマーク・フォスターの発言を抜粋。バンドの本質や人間味溢れる言葉などが飛び出した部分をお届けする。

ユーモラスな回答をしながら常に音楽に対して誠実なマークの人柄が垣間見れるインタビューの数々を、いま一度振り返ってみたい。

Foster The People - Sit Next to Me

まずはデビュー作『トーチズ』をリリースしたバンドが『ロッキング・オン』のインタビューに初登場した2011年の記事から。インタビュアーに『トーチズ』を聴いた感想として野心を感じると述べられたマークは、自身の音楽について以下のように答えている。

いろんなスタイルが楽しめる、全方位型のアルバムを作りたいという思いは確かにあったよね。70年代のUKロックっぽい曲もあれば、エレクトロニック色の濃い曲も入っているし、ヒップホップに影響された曲もあるし、サイケデリックな曲やモータウン風の曲も入ってたりする。それは僕自身大好きでずっと聴いてきた音楽が(中略)質の良いインテリジェント・ポップだったりするからで、だから自分でもちゃんと中身があってなおかつポップな曲を書きたいと思ってるんだ。
――『ロッキング・オン』2011年4月号より


様々な音楽に影響を受けながらも、新たなインディ・ポップのスタイルを作り上げてきたマークだが、フォスター・ザ・ピープルを結成するまでは色々と紆余曲折があったそうだ。

結成以前、地元からロサンゼルスに出てきたマークは放浪者のような生活を送っていたという。その中で経験した「ひとつの旅」について話してくれた。

高校時代からの親友の一人と一緒に出発したんだ。(中略)でも。ネブラスカ州まで来たところで車が故障してさ。人里離れた場所で一夜を過ごす羽目になったんだけど、そのとき、レーシング・サークルをやってるってやつらに出会ったんだ。みんなすごいスピード・カーに乗ってて、「競争しないか?」って誘われて、「やる!」ってそいつらの車に飛び乗って、ネブラスカの町をレースした(笑) ――『ロッキング・オン』2011年4月号より


そんな破天荒な旅の道中に聴いていたのは、マークが当時入れ込んでいたハードコアだったらしい。その影響か、パンクス風の楽曲を書いていたというが、では、どのような経緯で今のような変速ポップな楽曲を生み出せるようになったのだろうか。

LAに越してきた頃はギター・アンプも持ってなければバンドを組む知り合いもいなかった。手元にあったのはエレクトリック・ギターとアコースティック・ギターだけだったんだ。でも、とにかく音楽がやりたくて、アコギを取り出して一人で弾き始めたんだよ。そしたら、アコギだったんでハードコアでもヘヴィでもない、全然違うタイプの、落ち着いた感じの曲ができ始めた。歌も自分で歌うようになって、自分の声をもっと使うようになったんだ。そこから本格的に曲の書き方を身につけて、サウンドそのものもすっかり変化したよね。
――『ロッキング・オン』2011年4月号より


環境に順応した末に生まれたフォスター・ザ・ピープルのサウンド。それらを踏まえた上で、改めて彼らを一躍有名にしたアンセム“Pumped up Kicks”を聴き返してみても、新しい発見があるだろう。

Foster The People - Pumped up Kicks

続く2ndアルバム『スーパーモデル』リリース時のインタビューでは、その独特なアートワークについて語ってくれた。

このレコードのテーマの多くは、消費主義とか資本主義社会の醜い面だと思う。アートワークは、僕らが今生きているカルチャーのある側面を象徴していると思うんだ。それは、セレブリティとかそういう人達を持ち上げるのが大好きで、まず彼らを台座に乗っけて祭り上げて彼らの生活を見て、そして彼らが人間ではないことを期待するというのかな。神であることを期待しているんだよね。だから彼らが失敗したり崩壊し始めると、今度は、その人が落ちぶれていくのを見ながら写真に撮ったりして金にしていくというね。つまり、そのすべての過程を金にしてしまうということなんだ。 
――『ロッキング・オン』2014年4月号より


Foster The People - Coming of Age

そして最新作『セイクレッド・ハーツ・クラブ』のインタビューでは、新メンバーの加入、アートワークやサウンドから発せられるバンドの新たな決意表明とも受け取れる言葉を口にしている。

このアルバムはぼくたちがバンドとして作ったものでは最もコラボレーションの要素が多い内容になっているし、特に新しいメンバーのひとりはぼくの友達で、僕らともしばらく前から一緒に演奏していて、今ではバンドの重要な核を担うメンバーにもなってるんだけど、それがアイソム(・イニス)なんだよね。そして、今回はアイソムとぼくとで楽曲のほとんどを一緒に書いていて、それによって、このバンドの色彩にしてもまったく新しいパレットがまるまるひとつ加わったくらいに豊かになったと思うんだ。
――『ロッキング・オン』2017年9月号より


過去のインタビューを紐解くと、マーク・フォスター、ひいてはフォスター・ザ・ピープルがいかにその時々の「ポップ」に対して敏感で、チャレンジ精神に富んだバンドかということが改めて実感できる。1月の来日公演では、新体制となったバンドの姿はもちろん、新旧の進化した楽曲たちを掻き鳴らす新たなフォスター・ザ・ピープルに出会えるはずだ。
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