坂元裕二脚本のドラマ『anone』がいろいろな意味で想像を超えていたことについて

1月クールのドラマがだいぶ出揃ってきましたが、今のところ『anone』の第1話からのぶっちぎり方に圧倒されてます。
坂元裕二脚本、水田伸生演出という『Mother』『Woman』の布陣なので、その流れを汲んでるところもあるのだが、いろいろな人が指摘している通り、視聴者の集中力を信じてありとあらゆるディテールに深読みしがいのある「意味」を緻密に散りばめているところは、1年前に大きな話題を呼んだ坂元脚本のドラマ『カルテット』に通ずる。

しかも『カルテット』は、そのみんなが深読みした「意味」が絶妙に正解か不正解かわからないグレーなところにすり抜けていくところがクールでポップだったのだが、『anone』はもっとディープでヘビーだ。

とりあえず今、登場している主要登場人物はみな精神的に孤独。
そんな孤独な個人たちの群像劇の中で、今の時代において、いろいろなものの価値が変容していることを炙り出していく。
たとえば「思い出」「居場所」「お金」「名前」、そして「命」までも。
この世界の中で、自分が生きていく価値とは?
そんな問いを抱えて迷子になっている人にとって、このドラマは必ず効く薬になると思う。
テレビドラマに視聴者が求めることと、その効能がどう重なるかが、今後の数字を左右すると思うが、そういう意味でも圧倒的に「攻め」の姿勢を貫くこのドラマを僕は支持したい。

とりあえずいきなり、ハリカ(広瀬すず)とカノンさん(清水尋也)のチャットゲーム上の会話の切なさに泣かされました(チャットのシーン全般、ふたりの声の演技が素晴らしい)。
連ドラの第1話で泣いたの、たぶんはじめてじゃないかな。

とは言え、まだ物語の氷山の一角しか見えてないわけで、第2話以降の展開から目が離せない。(古河晋)
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