自分が父親になるまでは、すべてが自分のためのものでしかなかった。でも、その後、ぼくは生きることの本当の意味を知ったんだよ。自分以外の人のために尽くすことの喜びをね。(俳優の)ローレンス・オリヴィエは人生の抱負として最高のものは誰かのために仕えることだと書いているんだよ。
人生で後悔していることについて
明らかに後悔していることはいろいろあるよ。無数にね。一番後悔しているのは、ジョージ・ハリスンの結婚に関わっちまったことだよ(エリックはその後ジョージの妻だったパティ・ボイドと略奪愛の関係になる)。
ボブ・ディランのあのすごい曲、なんだったけ? 「隣の家を楽園だと錯覚するんじゃないよ」っていうさ(“The Ballad of Frankie Lee and Judas Priest”)。なにがあの曲を触発したのかは知らないけど、ぼくの経験はまさにああいうもんだったんだよね。
セレブリティであることについて
有名人であることで一番しんどいのは、たぶん、そうしたくなくても行儀良くしなきゃならないことだろうな。
それと写真を撮られるのも好きじゃないんだ。そういう意味では昔のアフリカ人みたいなんだよ。ぼくは、写真ってちょっと魂が抜き取られているような気がするんだ。
平和であることについて
ぼくの平穏についての定義というのは、自分の頭の中でなにも鳴っていないことなんだよ。
エリック・クラプトンはドラッグやアルコール中毒、息子の死などが綴られた『Eric Clpaton: Life in 12 Bars』のワールド・プレミア後、開口一番に「自分をあまりに曝け出しているから、観るのは心が痛かった」、「だけど、それでも僕は死なずにここにいるし、今は幸せでハッピーだから。家族が持てたし、自分が人と生活ができる人間なんだと分かったから良かったと思っている」と語っていたという。
また、1月には自身の聴力の悪化を告白しており、以下のようにも語っていた。
これからも働く予定でいるよ。ライブもいくつかやっているしね。7月にはハイドパークでのショウ(British Summer Time Festival)も決定している。
でもひとつだけ心配しているのは、70代になった今でもまだ熟練者としての演奏ができるかどうかっていうことなんだ。つまり、聴力は失くなりつつあるし耳鳴りもするし、手はぎりぎり動くぐらいの状態だからね。
だから、ファンの人たちには珍しいものを見るつもりでライブを観にきてほしいと思ってるんだ。それもひとつの楽しみ方だよ。だって、僕がまだ生きてるっていう事実がすごいことなんだからさ。
3月に73歳の誕生日を迎えるクラプトン。その人生を追った『Eric Clpaton: Life in 12 Bars』が日本でも楽しめるようになることを楽しみに待ちたい。