『おげんさんといっしょ』第2弾でさらに広がった、星野源が音楽に求めるワクワク感

8月20日のオンエア時にはTwitterトレンド世界1位を記録するほどの注目を集めた、星野源の冠音楽番組『おげんさんといっしょ』第2弾。
おげんさん(星野源)とお父さん(高畑充希)、長女・隆子(たかしこ/藤井隆)、進行役:おげんさんちのねずみ(声:宮野真守)、そして番組中の楽曲を演奏するバンドメンバー=息子&娘たち、という昭和お茶の間ドラマ風の景色の中に、プロフェッショナルな音楽をアットホームに配置する……という設定は同じながら、今回はより自由闊達に、そして豊潤に、ポップミュージックの楽しさそのものを体現してみせた。

ドラマの配役(?)を駆け足で振り返りつつ、「第1弾」のラストを飾った名曲“恋”をいきなり披露。河村"カースケ"智康(Dr)/ハマ・オカモト(B)/櫻田泰啓(Key)/石橋英子(Key)/長岡亮介(G)という名手揃いのバンド(番組中盤からはMPCプレイヤー=STUTSも登場)が学生服に身を包んで、生活感あふれる狭いセットの中で演奏するという一見シュールで微笑ましい場面が、全国区のエンターテインメントとして共有されている――ということに、改めて抑え難いワクワク感が沸き起こってくる。

第1弾の「長男」=細野晴臣に続いて、今回「次男」としてゲストで登場したのは、星野源の新曲“アイデア”ミュージックビデオの振付を担当した三浦大知。日本を代表するポップアーティストふたりが、お母さん姿(星野)と庭師姿(三浦)で卓袱台を囲んで語り合っているという不思議な画も、まさかの足袋姿で“DIVE!”のキレキレの歌とダンスを見せつけた場面も、『おげんさんといっしょ』だからこそ起こり得る奇跡だ。
さらに、隆子がお下げ髪を振り乱しながら熱唱した藤井隆“ナンダカンダ”、「宮野真守似のアイドル」こと雅マモルがホットパンツ姿で熱唱した“恋はホップステップジャンプ”、緊張を隠しきれない様子ながらお父さん(高畑)が麗しの歌声を聴かせて歌い上げた星野源“Family Song”……生放送ならではのドタバタ感漂う中でも、その楽曲の魅力をくっきりと浮き彫りにしてみせる手腕と磁場はそのまま、星野源という表現者の在り方と地続きのものだ。

そして、番組の最後に「銭湯バージョン」として富士山模様の銭湯の風景の中で披露された“アイデア”。
「平穏な日常」とそれを支える日々の「懸命な営み」、笑顔と寂寞、希望と絶望、バンドサウンドとエレクトロアレンジと弾き語り……といった幾多の要素がお互いを祝福し高め合うようなこの楽曲は、「星野源のキャリア総動員」を超えて、それこそ彼が「ポップミュージックのすべて」になったかのような雄大な奥行きを確かに備えていた。
「初披露だから、ダンスはちょっと……」と言いつつ、間奏パートでは暖簾を隔てた隣で鮮烈なダンスを展開していた三浦。最高に胸躍るコラボレーションがそこにはあった。

マイケル・ジャクソンの伝説のライブ映像を紹介したり、星野源のソロアーティスト活動のきっかけを作った巨匠:細野を招いたり……と星野自身のルーツとロマンを掘り下げるような場面が随所に見られた「第1弾」。その内容を踏まえて今回の「第2弾」を観ると、自らの表現を「イエローミュージック」と呼んだ彼の想いはまさに、「ポップミュージックのすべて」を俯瞰した上での果てしなき闘争宣言だったのだろう――と至って自然に思えてくる。「第3弾」もぜひ!(高橋智樹)
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