つまり、彼らは、能動的に日本語詞を目指せば、優れた楽曲を生み出せるバンドだったのだ(メジャー期の挑戦的な楽曲も個人的には愛おしいけれども)。とは言え、再び日本語詞に向き合うことはしんどいだろうな、と思っていた。しかし、時は来た。2016年リリースのミニアルバム『skyrocket』で、日本語詞が登場したのだ。SUGA(Vo・G)は当時の『ROCKIN'ON JAPAN』のインタビューで「なぜか自由な感じになれていて」、「ここは絶対に日本語のほうがいいやって」と話してくれた。時間をかけて、そう考えられるようになったのだと思う。
そして、今回の“Farley”である。《過去破り捨てて run and run》という、あまりにも核心を突く日本語詞。20周年を目前にして、本当の意味で彼らは解放されたのだと思うし、秘めたる武器を手にする決意を固めたのだと思う。3人には大袈裟と言われちゃうかな? でも、彼らは20周年を経て、さらなる飛躍を遂げていくことが、ここで約束されたはずだ。また、日本語詞に関してだけではなく、全国15ヶ所で行った企画「TRAINING DAYS 2018」で披露し鍛え上げてきたことと、猪狩秀平(HEY-SMITH)、菊池信也(OVER ARM THROW)、笠原健太郎(Northern19)、TIGHT RECORDS主宰のF.ANDREWという盟友のコーラスによって、楽曲の物語と力強さが増したというところも、特筆しておきたい。シングルに関して、他の収録曲も素晴らしい。連続出場している10-FEET主催の「京都大作戦」が、2018年に中止となってしまったことに想いを馳せて制作された、胸が締め付けられるほどスウィートでセンチメンタルな“Summer Again”。なんとフルカワユタカがコーラスで参加して再録された、ライブでは欠かせない“Jupiter”。同じく再録で、クリスマスシーズンにしか演奏されず、プレゼントとして配られたことしかない“Wish”。すべてに意味がある4曲だ。
紆余曲折の道のりを、自らの手で輝かしいものに変えてきた20年。初夏にリリースされる予定というフルアルバムには、そんな今だからこそ書ける言葉、鳴らせる音が詰まっているはずだ。聴ける日が待ち遠しくてたまらない!(高橋美穂)