祝・NUMBER GIRL再結成! 今、あの音が蘇ることのデカさについて

アルバムが100万枚売れたわけでもないし、日本武道館やスタジアムなど大会場を埋めたわけでも、音楽シーンの中心的な存在だったわけでもない。
が、解散して16年以上経った今なお、アーティスト/リスナー問わず根強く影響を及ぼし続けているバンドであることは間違いない。

NUMBER GIRL、再結成。
2019年の今、この文字を自分の原稿に記せる喜びを、改めて噛み締めずにはいられない。

くるりSUPERCARらとともに90年代末期の洋楽系オルタナティブの一翼を担った存在として語られることは多いし、ピクシーズソニック・ユースなど海外のバンドからの影響を挙げられることも少なくないNUMBER GIRL。
だが、その楽曲とサウンドの核心にあったのは、洋楽への目配せでもシーン動向への関心でもなく、歌詞も楽曲も演奏もすべてを灼熱の緊迫感で貫いていたメンバーの――というか向井秀徳(Vo・G)の感性そのものだった。

「対・都市」の違和感と焦燥感とセンチメントが酩酊越しに渾然一体となった詞世界。向井秀徳/田渕ひさ子(G)/中尾憲太郎(B)/アヒト・イナザワ(Dr)が音源でもライブでも繰り広げる、音で斬り合うが如き熾烈なアンサンブル。レコード会社のスタジオで収録したテイクをボツにして、地元・福岡のスタジオでアナログ8トラックレコーダーで録ったノイズまみれの轟音テイクを収めたデビューシングル『透明少女』。作品を重ねるごとにオルタナ系ギターロックからダブ/レゲエ/祭囃子まで変容しながら「現代の諸行無常」をシビアに音像化していったバンドサウンド――。そのどれもが異質でいびつで、だからこそ震撼必至のリアルに満ちていた。

メジャーデビューからわずか3年後の2002年、中尾憲太郎の脱退表明を受けての「『中尾、田渕、イナザワ、向井』の四人で『ナンバーガール』である、という共通の意思が強いため『ナンバーガール解散』という決断に至りました」というあまりにも潔い解散宣言も含め、「生き急ぐ運命共同体」としてのバンドの危うさも眩しさも、その切迫した楽曲やライブ越しに凄絶に体現していたのが、あの時代のNUMBER GIRLだった。
音楽よりもまずバンドの在り方として、彼らは真にオルタナティブだった、ということだ。

数多のアーティストや音楽が生まれながらも決して上書きできなかった「あの感じ」の続きを描けるのは、やはりNUMBER GIRLしかいない――。2002年11月30日に北海道・札幌で途切れたバンドの歴史を再び北海道の地から始めることになる「RISING SUN ROCK FESTIVAL 2019 in EZO」でのステージはまさに、その唯一無二の熱量をこの時代に厳然と証明する場となるだろう。

「2018年初夏のある日、俺は酔っぱらっていた。そして、思った。またヤツらとナンバーガールをライジングでヤりてえ、と。あと、稼ぎてえ、とも考えた。俺は酔っぱらっていた」
バンド再結成と「RSR」出演決定に際して向井が発表したコメントからも、その最後に記された「できれば何発かヤりたい」の言葉からも、「今」に挑む彼らの挑戦精神が滲む。
衝動をそのまま渾身の絶唱と冷徹な爆音に置き換えたようなNUMBER GIRLの音楽が、2019年の日本においていかに響くのか。その瞬間が、ただひたすらに待ち遠しい。(高橋智樹)
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