ニューアルバムに収録されている楽曲のほとんどが既発曲であるが、それらがアルバムとして括られると、まるでドキュメンタリーのように、BUMP OF CHICKENにとっての3年半の月日が物語として浮かび上がってくる。藤原はその楽曲群から導かれるようにして、アルバムにタイトルを付け、同名のオープニングナンバーを制作したという。
アルバムを作るということが決まると、いつも全部が大きな流れの中にあるんです。生まれようとしているものを取り出すだけというか。(中略)僕、自分のすべてのクリエイションにおいて、自覚的な部分が非常に少ないほうだと思ってるんです。タイトルが付いた瞬間に、「そうか、自分たちが到達したかったポイントはここだったんだ!」って、毎回気づくんですよ
その3年半の間に、結成20周年という節目を迎えたBUMP OF CHICKEN。本作に収録されている“リボン”は、そのタイミングだったからこそ生み出された、BUMP OF CHICKENというバンド自身のことが歌われている楽曲だ。歌詞にある《僕らを結ぶリボンは 解けないわけじゃない 結んできたんだ》というフレーズについて、藤原は以下のように言及している。
(BUMP OF CHICKENは)解こうと思えば解けるけど、結ぶことを選んできたバンドなんですよね。結んできたということだけで目頭が熱くなってしまうんですよ。それは必然的に、20周年の終わりというタイミングで曲になってしまうんです。結んで続いているんだということは、10年後だって20年後だってきっとずっと思っています。願えば叶うわけではないけど、だからこそ曲になるんだと思う
そのほかの収録曲についても誕生した経緯や込められた想いなどがじっくりと語られた本インタビュー。このアルバムに内包された「必然」がひも解かれると同時に、BUMP OF CHICKENにとってアルバムをリリースすることの意義や、藤原基央のクリエイティビティの本質に迫っている。また、13Pにわたる藤原の撮り下ろしフォトや、オーロラを観るためにメンバー全員でカナダを訪れた際の写真もアルバムに先駆けて掲載。アルバムのリリースを待ちながら、ぜひ手にとってほしい永久保存版の一冊だ。
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