東京スカパラダイスオーケストラが歌で踊らせ、楽器で歌う『ツギハギカラフル』について

東京スカパラダイスオーケストラが歌で踊らせ、楽器で歌う『ツギハギカラフル』について - 『ツギハギカラフル』CD+DVD盤『ツギハギカラフル』CD+DVD盤
今年8月の「サマーソニック2019」東京公演2日目の朝イチのステージで、東京スカパラダイスオーケストラのアクトにMr.Children桜井和寿が登場して“リボン feat.桜井和寿”を晴れやかに響かせたのを観て感じたのは何より、スカパラという音楽の「限界なき自由」そのものだった。

各楽器の「歌」のポテンシャルを解き放つことによってスカパラの開放的なタフネスを最大限に炸裂させるインストゥルメンタル楽曲もあれば、メンバーが極上のメロディをパワフルに歌い上げる曲もある。そして、個性溢れるボーカリストを迎えて、ありったけのリスペクトをメロディに注ぎ込む「歌モノコラボ」もある。
「基本インストメインのバンドが『歌モノ』の楽曲を演奏する」というのではなく、スカパラの音楽はインスト曲も含めすべてが最高の歌であり、珠玉の音であり、無上のビートでもある。

バンドに固定のボーカリストがいるということは裏を返せば、そのバンドの表現は「基本ボーカル曲」であるよう運命付けられている、という制約を背負っていることをも意味している。
だが、スカパラにはその縛り自体がない。どこからでも歌声を放つことができるアグレッシブな全能感も、楽器の奏でる「歌」のウィットとユーモアをじっくり噛みしめる余裕も、ゲストボーカリストとともに瞬間の奇跡を謳歌する包容力も含め、音楽と人生のすべてを体現できる――と思わせる融通無碍な魅力を、11月20日に発売されたニューアルバム『ツギハギカラフル』は鮮烈に伝えてくれる。

デビュー30周年を記念して制作された『ツギハギカラフル』は「歌モノ盤」と「インスト盤」で構成された2枚組アルバム。“ちえのわ feat.峯田和伸”、“明日以外すべて燃やせ feat.宮本浩次”、“リボン feat.桜井和寿”といった既発シングル曲群はもちろんのこと、キヨサク(MONGOL800)&TAKUMA10-FEET)を迎えた“Jamaica Ska”、南米コロンビアのジプシー・スウィング・バンド=ムッシュ・ペリネをフィーチャーした“ザ・ターミナル -Monsieur Periné Remix-”、習志野高校吹奏楽部との美爆音コラボが実現した“風のプロフィール”といったボーカル曲を収録した「歌モノ盤」。そして、“カナリヤ鳴く空”以来18年ぶりの共演となったチバユウスケのコーラスを最強の「楽器」として響かせる“¡Dale Dale! ~ダレ・ダレ!~”をはじめ、CM曲としてもお馴染みの“スペクター”や“ORIHIME !”などをコンパイルし、インストバンドとしての存在感を改めて聴く者の胸に刻み込む「インスト盤」。どちらもスカパラにしか作れない、スカパラだからこそ鳴らせる強さと輝きに満ちている。

スカ/ロック/ジャズなど多彩な音楽性を血肉化しながら、どこまでもしなやかで朗らかな表現へと結実したスカパラ。ジャンルのみならず歌とインストのボーダーラインも鮮やかに越境する今作はまさに、ポップミュージックのひとつの理想形だと思う。(高橋智樹)

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