ヨルシカの“夜行”から始まる新章がいよいよ私たちの音楽の聴き方を変え始める

ヨルシカの“夜行”から始まる新章がいよいよ私たちの音楽の聴き方を変え始める - 『夜行』配信中『夜行』配信中
新たなヨルシカの物語が幕を開けた。

“夜行”と名の付けられたその楽曲は、ある一人の青年を主人公に「大人になること」そして「死に向かうこと」を歌っている。ヨルシカの刹那性や文学性を全面的に感じ取ることのできる、ヨルシカを初めて聴くリスナーはもちろん、『だから僕は音楽を辞めた』、『エルマ』の物語を辿り、此処に行きついたファンも心酔できる楽曲となっている。

ヨルシカの魅力――、ないし若者を中心に支持される理由は、MV総再生回数など彼らが打ち立ててきた数々の記録からも説明できるし、何よりも彼らにしか創作できない楽曲が雄弁に語っているといえる。デジタルにまみれながら生活する現代人にとって、ヨルシカの作品は時折とてもアナログの様相を持ち、私達の前に現れる。
彼らが発表するアルバムは物語調のスタイルを取り、実際に発売する作品は物語に沿った装丁や仕様となっている。木箱や写真、紙から感じ取る風合い。文字ひとつ取っても実際に触って感じる機会が少なくなった現代の若者たちに、彼らの作品はノスタルジックな魅力を伝え続けているのだ。

そのような音楽表現において、ことヨルシカの歌詞やメロディラインはぴったりと寄り添うように、相性抜群のものとしてそこに存在している。n-buna(G・composer)の紡ぎ出す歌詞はさながら文学のようで、流れるような音を持ちながらもしっかりと心に届く美しい言葉の羅列として人々の胸に響く。
新曲“夜行”では、歌詞に夜行列車が登場する他、

≪はらはら、はらはら、はらり
晴るる原 君が詠む歌や 一輪草≫

など、どこか『銀河鉄道の夜』の宮沢賢治節を思い出させる歌詞が登場することから、ヨルシカの持つ文学性をことさら強固なものにさせている。

文学と音楽の融合。音楽は「聴く」から「読む」へ――。
ヨルシカが打ち立てた新しい音楽の形に、音楽と文学の両方を愛するリスナーとして高揚を感じざるをえない。彼らは今、新しい物語の始まりに立ち、再び音楽表現の高みへと行こうとしている。
繊細かつ芯のある音楽が人々にもたらす、憧憬に似た景色。
“夜行”から続く光景は一体どんなもので、私達の心に残っていくのだろうか。人の心に残り続けるものを創り続けるヨルシカの、今後の試みに注目したい。
初めて出会ったはずのものに懐かしさを感じるから、ヨルシカの音楽はいつでも、いつまでも聴いていたくなる。それこそが新鋭・ヨルシカの魅力であり、大勢に愛される理由のひとつなのかもしれない。(安藤エヌ)

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