「AC/DCとしては、聴いた聞いた人に『これはAC/DCだ、AC/DCサウンドだよ。これぞAC/DCだ』と言ってもらいたい。それが僕たちの目標だ。マルコムと僕の目標も常にそれだった」
「古きは新しきに優る」
この伝説的なバンドの“哲学”を端的に表した言葉である。結成以来約45年間に亘って追い求めてきたのは、バンドの特質を最大限に活かすためには何が必要かという、ある意味、究極の問いかけだった。マルコム、アンガスのヤング兄弟は、AC/DCらしさとは何か、人々が一聴して「これぞAC/DCだ」と正しく認識してくれるサウンドを創造するためには、どうすればいいのかを考え続けてきた。しかし、バンド創始者のマルコムが亡くなった。前作発表後のツアーを終えた段階で、メンバーとして残っていたのはアンガスのみ。
しかし、新たに制作するべき作品が「マルコムの追悼プロジェクト」としての色合いが強くなるという重要な側面が際立ってくると、聴覚のシリアスな問題で現場から去っていたブライアン・ジョンソンが復活し、自身が起こした事件のために身動きが取れずにいたフィル・ラッドも帰って来た。引退を発表していたクリフ・ウィリアムズもその引退を撤回。ヤング兄弟の甥であるスティーヴィー・ヤングも戻って来た。伝説が本当に伝説であることを証明する時がやって来たのである。(伊藤政則)
『ロッキング・オン』最新号のご購入は、お近くの書店または以下のリンク先より。