年末年始特別企画! ロッキング・オンが選ぶ、2020の「年間ベスト・アルバム」TOP10を発表!(第8位)

年末年始特別企画! ロッキング・オンが選ぶ、2020の「年間ベスト・アルバム」TOP10を発表!(第8位)

2020年も残りあとわずか。

新年へのカウントダウンが盛り上がるこのタイミングで、ロッキング・オンが選んだ2020年の「年間ベスト・アルバム」ランキングの10位〜1位までを、毎日1作品ずつ発表していきます。

年間8位に輝いた作品はこちら!
ご興味のある方は、ぜひ本誌もどうぞ。

【No.9】
『フォークロア』/テイラー・スウィフト


年末年始特別企画! ロッキング・オンが選ぶ、2020の「年間ベスト・アルバム」TOP10を発表!(第8位)

メルクマールとなる大傑作

年頭にNetflixのドキュメンタリー『ミス・アメリカーナ』を配信、コロナ禍の夏に本作をリリースした2020年は、明らかにテイラー・スウィフトにとって、大きなメルクマールとなった年だった。

子供の頃から「みんなに良い子と思われたい」という一心で優等生的に振る舞ってきた彼女が「これからは他人の目など気にせず言いたいことを言いたい、正しいと思ったことをやりたい」と涙ながらに訴えた瞬間を捉えた『ミス・アメリカーナ』の映像は彼女の人間としての自立と成長を強く印象づけるものだったし、これまで彼女とは全く無縁と思われていたUSインディの中心人物であるザ・ナショナルのアーロン・デスナーと全面的にコラボすることで、ポップとインディの垣根を打ち壊し、ポップ・スターとしての自分を再定義し、広義のアメリカン・ミュージックの再編を迫った本作によって、アーティストとしての巨大なブレイクスルーを示すことができた。そのふたつは密接に連関している。

テイラー自身がアーロンに直にオファーすることで実現した本作での共演は、コロナ禍による自主隔離という事態がなければ実現しにくいものだったかもしれないが、それでも彼女の意識変革は遅かれ早かれ訪れていたはずだ。

フォーキーでアコースティックなアルバムという触れ込みに間違いはないが、実際にはそんな素朴な作品ではなく、隅々までアーロンによるエレクトロニックなアレンジや技巧的なサウンド処理が為された音響アート作品といった印象が強い。ふたりのアーティストが一切空間を共有す ることなく作られた完全リモートの宅録作品なのに、そこでは確かにふたりの音楽家が共に呼吸し音を紡いで音楽を作り上げていく親密な光景が音から浮かび上がってくる。

それはある種のバーチャルな想像上のコミュニティとも言えるものだが、そこに込められた内省、孤独や悔恨や喪失といった繊細な感情の機微が、驚くほどの切実さをもって迫ってくる。本作はパンデミック下に於ける音楽制作のあり方の、ひとつのモデルケースともなりうるだろう。
 
今後テイラーがこの方向に全面的に舵を切るとは考えにくいが、もとのポップ・アルバムに回帰しても、本作での成果を踏まえたものになるし、ここで彼女が挑戦し到達した領域は、多くのアーティストに大きな指針ともなるはずだ。(小野島大)



「年間ベスト・アルバム50」特集の記事は現在発売中の『ロッキング・オン』1月号に掲載中です。
ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。


年末年始特別企画! ロッキング・オンが選ぶ、2020の「年間ベスト・アルバム」TOP10を発表!(第8位) - 『rockin'on』2021年1月号『rockin'on』2021年1月号
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