「スーパーが燃えるのを見たいわけじゃない。見たいのは、制度的人種差別を成立させているシステムが焼け落ちるところだ」
2020年は全世界がコロナ禍に翻弄されることになったが、アメリカは世界最大規模の感染者を出しただけでなく、さらに政治の季節を 迎えることにもなった。ひとつには昨年がアメリカの大統領選の年で、年を越えても毎日トップ・ニュースのひとつが大統領についてという混迷ぶりを呈することになった。
しかし昨年、最も大きな政治的事件となったのは、ブラック・ライブズ・マター(BLM)であったことは間違いないはずだ。
2020年に入ってから、黒人市民が警官などから不当に銃撃死させられる事件が相次ぎ、5月に黒人男性ジョージ・フロイドの殺害事件が発生。
ミネソタ州ミネアポリスでジョージは偽造紙幣を使用したかどで警官に取り押さえられ、道路に組み伏せられると8分近く膝で首を押さえつけられ、「息ができない」と度重ねて訴えたものの聞き入れられず、そのまま意識不明となった。
見物人から脈を取れと言われた警官が脈を取るとすでになく、その後担ぎ込まれた病院の救急で死亡していたことが確認された。
しかし、ジョージが首を押さえつけられている現場の動画が拡散すると、ミネアポリスから全米へ、そして全米から世界各地へと、今回のコロナ禍というパンデミックのなかでも抗議デモが波及することになっていく ――
(高見展)
BLM特集に掲載されているのは、下記のコンテンツです。
《PART-1》BLMは音楽にどう共振し、音楽はBLMにどう共鳴したのか? シーンの動きを徹底検証
《PART-2》ラン・ザ・ジュエルズ、アメリカ社会の根深い病巣に斬り込んだインタビュー、そしてフロイド事件直後の決定的スピーチ!
ブラック・ライブズ・マターの特集記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』3月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。