ダニー・ボイル(製作)×アーヴィン・ウェルシュ(脚本)=『トレインスポッティング』チームが久々にタッグを組んだことでも注目を集める、アラン・マッギー自伝を原作とする劇映画『Creation Stories』がいよいよ完成とのニュースに触れたのは半年ほど前。2010年にもドキュメンタリー映画『アップサイド・ダウン』が製作されたほどクリエイションが伝説化したのは、言うまでもなく時代の寵児オアシスの発掘&爆発的成功譚が大きい。
だが古株なUKインディ好きにとって、クリエイションがレーベルとしてひとつの頂点に達した印象深い年はその数年前の1991年――アメリカでは「ニルヴァーナの『ネヴァーマインド』の年」と認知されているだろうが――プライマル・スクリーム『スクリーマデリカ』、ティーンエイジ・ファンクラブ『バンドワゴネスク』、そしてマイ・ブラッディ・ヴァレンタイン『ラヴレス』が発表された、あの名盤ハットトリック・イヤーだったんじゃないだろうか。
今年でもう30年か……とつい感慨にふけりがちだったが、そんなところに『ラヴレス』を筆頭に『イズント・エニシング』(88)、『EP’s 1988‒1991』(2012)、『mbv』(13)のMBVメイン旧作4タイトルがSpotifyやApple Music等のストリーミングに解禁&5月21日(金)に日本盤リリース!との情報が飛び込んできた。盤で聴いてきたため気づかなかったが、なんとこれらの名作は長い間サブスクから外されていたのだそう(バンドが自主リリースした『mbv』の公式なデジタル・プラットフォーム登場は今回が初)。
いずれもモダン・ロック史上にそびえる必聴の金字塔である音源群が最新のリスニング・スタイルと同期するのは朗報に他ならないし、これを機に新たなMBV中毒患者が生まれるのは間違いない――それくらい、いったんハマったら病みつきになる斬新な美を放つサウンドであることはいまだ患者のひとりである筆者が保証します。
そしてなんと、この解禁+日本盤のリリースを祝し、本誌はケヴィン・シールズとの最新取材に成功、しかも120分です。決定的なインタビューのため、そちらは5月7日発売のロッキング・オン6月号から3回連載を予定していますので、どうぞ乞うご期待!(坂本麻里子)
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