【JAPAN最新号】ガラクタ、それでも未来を肯定するバンド、登場!

【JAPAN最新号】ガラクタ、それでも未来を肯定するバンド、登場!
未来というのはどうしたって何が起こるのかわからないもので、その「わからなさ」が不安に変わって、窮屈な気持ちになったり、ほの暗い気持ちになったりするものだが、そんな「わからなさ」を喜びの予感に変えるような、そんなマジカルな音楽を奏でるバンドを紹介したい。名古屋出身の4ピースバンド、ガラクタである。

たとえば、最近リリースされたばかりの彼らの新作EP『雨のち君で晴れに変わる』の1曲目に収録された、吹き抜ける風のように鮮やかなロックチューン“一目惚れ”ではこんなふうに歌われる──《一言目なんて君に話しかけようか/びびって目も合わせられずに/思い描いた脚本は崩れてく》。そう、名前も性格もわからない、それでも心底魅力的な、あの子が目の前に現れた瞬間。未知なるあの子の魅力の前で、自分の用意していた「人生こんなもんっしょ」という脚本が全部ぶっ飛ばされるような瞬間。そこにあるのが、未来だ。


あるいは、EPの最後に収録されている美しいバラード“愛してるだけ”で歌われる《根拠はないけれど偽りのない/愛してるだけ/伝えたい》というフレーズのピュアな輝きはどうだ。根拠なんてなくても、嘘じゃないことがあるってことを、この歌は教えてくれる。もし、なんでもかんでも理由や根拠を求めてくるヤツがいたら、「じゃあ、おまえが生きていることに根拠はあるのか?」と言ってやればいい。でも、そのあとに「だから、くたばれ」なんて言っちゃいけない。「だから、一緒に未来を見に行こうぜ」と言ってやればいい。


ガラクタは2022年に結成されたばかりだが、既に光り輝くものをたくさん持っているバンドだ。EP『雨のち君で晴れに変わる』には《デートしようよ/ねぇ、どうしよう》という、幸福と混乱が横並びの必殺フレーズを持つ名曲“デートしよ!”も、一寸先を光に変えるために歩き出す若者たちためのアンセム”ボーイズアンドガールズ”も収録されている。ガラクタと一緒に歌ったり泣いたり踊ったりしながら、まだ見ぬ未来に行こうぜ。

文=天野史彬
(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年4月号より抜粋)


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