レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのフリー・ライブに4万人

レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのフリー・ライブに4万人

現在、ヨーロッパを精力的にツアー中のレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンだが、6月6日に、イギリスのファンへのご褒美としてバンドが約束していた無料ライブを行った。

フィンズベリー・パークで屋外ライブとして行われたこの日の公演にはおよそ4万人ものファンが駆けつけた。

もともとこのライブは去年のクリスマスにイギリスのファンがレイジの“キリング・イン・ザ・ネイム”をダウンロードで1位にしようと決起したことへのバンド側からの返礼として実現した。決起が起きたのはイギリスのシングル・チャートのクリスマスの1位にテレビのオーディション番組『Xファクター』の優勝者が4年連続で輝いていたからで、09年クリスマスも『Xファクター』の優勝者、ジョー・マケルダリーの“ザ・クライム”のカバーが1位になるものだと目されていた。

そこへファンが“キリング・イン・ザ・ネイム”をオンラインで買おうというキャンペーンを始めたところ、バンド側ももし実現したら無料コンサートを行うと対応していた。そして、“キリング・イン・ザ・ネイム”はクリスマスの週に見事1位を獲得。イギリス・チャートでは史上初めてダウンロードだけでチャート1位に輝くシングルとなった。

この日のコンサートはちょうどヨーロッパのフェスを巡っているレイジがその合間を縫って実現させたもので、費用などはすべてバンド持ちだという。

バンドが登場する前にはヴィジョンにアニメが流れ、『Xファクター』の司会者で審査員でもあるサイモン・カーウェルに似せた人物がほかの女性審査員の「乳首が奇妙に立っている」ことに触れてから、「個人的には非常に不愉快ですが、世界最強のロック・バンド、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンをご紹介します」とバンドをステージに呼ぶという展開をとった。

レイジが“テスティファイ”“ボムトラック”などの曲を披露していき、日も暮れた頃になるとザック・デ・ラ・ロッチャがそもそものキャンペーンを始めたジョンとトレイシー・モーターをステージに呼んだ。「あるアイディアを持って、それを草の根的に広めた2人の方を紹介します!」とザック。

また、ジョンとトレイシーがホームレスへのチャリティ団体シェルターを援助するサイトまで立ち上げ、“キリング・イン・ザ・ネイム”をダウンロードした人たちに寄付も呼びかけたことから、トム・モレロは2人についてこう語った。「この人たちは政治的に素晴らしい戦術を練り上げただけでなく、人道主義まで貫いたわけで、おかげでレイジも今回のみんなのダウンロードで手にした収益をすべてシェルターへの寄付に回すことにしたんだよ」とトムは2人に巨大な小切手を手渡した。それから「システムを蹴躓かせるのはほんとに気持いいね!」と語った。

ザックはそれからイギリスのパンクの伝統と自分たちにギターを弾いてみようという気持にさせたバンドの数々について触れ、そこからクラッシュの“ホワイト・ライオット”の煽情的なバージョンに突入した。

本編が終了していったんバンドが引っ込むと会場にはジョー・マケルダリーの“ザ・クライム”が大音量で流され、さらにジョー・マケルダリーやサイモン・カーウェルがレイジのキャンペーンをめぐる根も葉もない憶測を語った新聞記事からの引用が流されたりしたが、最後には観客に向けて「YOU Made History」というメッセージが映し出された。

アンコールでは、バンドは“キリング・イン・ザ・ネイム”を演奏してみせた。

(c) NME.COM / IPC Media 2010
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